拡大するK-POPの祭典「KCON」 大盛況に見た成長のヒント

世界的に成功を収め続けるK-POP。その祭典「KCON」が規模を拡大して2017年も日本で開催。ブームが過ぎ去った後でも、定着した人気が上がっていく理由はどこにあるのか。若者で賑わう会場を取材した。

世界的な音楽産業減少の中で目立つ、韓国の好調

IFPI(国際レコード産業連盟)の年次レポート「Global Music Report 2017」によると、レコード産業の世界総売上は2001年に236億USドルだったが、2016年は157億USドルまで減少している。もっとも、2014年を底にここ2年は微増の回復を見せているが、約66%まで減少してしまっているのは事実だ。


そんな世界的な縮小傾向の中、好調さで目立つ国がある。韓国だ。2001年は世界で15位の売上規模だったが、2013年にTOP10入りし、2014年からは8位に居続けている。


韓国の音楽というと2010年に「少女時代」「KARA」らが相次いで日本デビューし人気を得た"K-POPブーム"が思い出される。ブームは終息したように見えるが、先に記したとおり、実はその後、更に売上を増加させている。なぜだろうか。


その理由の一端が感じられるイベント『KCON(ケイコン)』が5月19日(金)~21日(日)の3日間、幕張メッセ国際展示場で開催された。
 

世界で開催される韓流イベント『KCON』

KCON TOKYO 2017
各ブースでイベントが行われ、お気に入りのアーティストや気になる情報に触れられる

『KCON』は、公式ホームページによると「K-POP、K-DRAMA、K-BEAUTY、K-FOODなど韓国の文化を経験することができる K-Cultureコンベンション」とのこと。2012年にアメリカ・カリフォルニアで初開催。その後、毎年アメリカで開催し、フランスやイギリス、アラブ首長国連邦、メキシコなどで行われ、今年は更にオーストラリアでの開催も予定されている。そう、K-POPブームというと日本だけで起きたことのように思えるが、実は世界各地でK-POPは人気となっている。日本ではブームが去った後の2015年に初開催されたが、年毎に日数を増やし、3年目の今年2017年は3日間の開催。主催者発表によると延べ4万8500名が訪れたという。


会場はコーナーに分かれ、様々なイベントや出展がなされている。
 

アーティストのステージが間近で

SF9 KCON 2017 JAPAN
2016年10月にデビューしたばかりのSF9のステージ

常に人だかりができ、盛り上がっていたのは、KCON STAGEコーナー。デビューから日の浅いアーティストのライブが行われ、明日のスターを間近で応援できる。また、GFRIENDなど、既にトップクラスの人気を誇るグループのトークイベントも行われていた。
 

GFRIEND ヨジャチング KCON 2017 tokyo
トップアーティストのGFRIENDもトークショーに登場

KCON自体の入場料は1日1900円だが、このKCON STAGEだけで元が取れそうな充実ぶりだ。
 

アーティストと身近に接することができるブースも

DTION KCON 2017 tokyo
自身のブースに訪れたD.tion。サイン会や握手会も行われる

上記の明日のスターたちは個別でブースも出しており、本人たちが時々訪れ、写真撮影に応じるなど、直接触れ合うことができる。


また、別ステージのTSUNAGARU STAGEではほぼ1日中アーティストが入れ替わりでトークショーが行われ、パーソナリティに触れられる。
 

音楽以外の出展も

H.U.B RUI KCON 2017 JAPAN
食品ブースに顔を出したH.U.Bの日本人メンバーRUI。K-POPアーティストとしてデビューする日本人が増えている

最近、若い女性向け雑誌では、韓国のメイクについて度々特集されており、メイク講座なども多くの人で溢れかえっていた。ドラマや食品の試食、観光紹介のブースなどもあり、まさに何でもある印象だ。


と、ここまででも充実しているが、実はメインイベントはその後の毎夜に行われる。
 

人気音楽番組「M COUNTDOWN」の生収録ライブ

M COUNTDOWN KCON 2017 JAPAN
隣の会場で行われたM COUNTDOWNの公開録画ライブ

KCONの主催は、韓国の総合エンターテイメント事業社CJ E&M社であり、音楽専門チャンネルMnetを運営している。そのMnetの看板番組が、毎週木曜に韓国で放送されている公開音楽番組「M COUNTDOWN」だ。日本でもスカパー!などで視聴できるほか、抜粋されたものはYouTubeで公開されている。


その収録を兼ねたライブが毎夜行われたわけだが、その参加者ラインナップと内容が非常に充実していた(全席指定であり、観覧には別チケットが必要)。
 

Block B KCON 2017 TOKYO
K-POPは一糸乱れぬダンスや、派手なパフォーマンスも見もの。Block Bの迫力あるパフォーマンス

トップアーティストのCNBLUE、Block B、Apink、GOT7、GFRIEND、K.willなどにはじまり、人気急上昇中のSEVENTEEN、MONSTA X、宇宙少女らが揃うという、本国で行っても遜色ない豪華なラインナップが組まれ、それぞれが最新曲と代表曲を次々と披露。更にグループを越えてのコラボステージや、トーク&ゲームコーナーもあり、単独の公演よりもバラエティに富んだ内容となっていた。
 

SEVENTEEN KCON 2017 JAPAN
今もっとも人気が急上昇しているグループのひとつ、SEVENTEENも登場

例えば、5月20日は、2つの人気グループ、GOT7のジニョンとMONSTA Xのミニョクが客席からMCを行い、寸劇的に日本で大ヒットしたKARAのヒップダンスや、TWICEのTTダンスを見せるなど、K-POPファンなら誰でも知っているネタでのファンサービスを行った。


その後も、MONSTA XがゲームコーナーでPPAPや星野源の恋ダンスを披露するなど、誰が観ても楽しめる演出に徹底し、公演時間も2時間30分という質量共に充実したものだった。
 

PRISTIN KCON JAPAN 2017
2017年3月にデビューしたばかりのPRISTIN。様々なアーティストのパフォーマンスを目の当たりにすることができる

KCONはもちろん、K-POPファン・韓国の文化好きのためのイベントだろう。だが筆者は今回初めてKCONに参加し、全く知らないアーティストのパフォーマンスを観ても、とても楽しめた。


韓国は人口約5000万人で、日本の約1億2700万人の40%であり、内需が大きいとは言えない。そんな中で歌番組の公開録音で歌手のレベルを上げ、ファンサービスを行い、放送し、webで拡散させ、各地でイベント・ライブを行い、最大限のサービスとパフォーマンスを行っていく。


現時点で日本の内需は少なくないが、今後人口減が進む中での何かヒントが、この熱気ある歓声の中にあるのではないかと感じた。


■M COUNTDOWN公開収録、出演アーティスト
5月19日(金):Apeace、ASTRO、BTOB、DAY6、JUNHO(2PM)、PRISTIN、SF9、VICTON
5月20日(土):Apink、Babylon、CLC、CNBLUE、GOT7、Heize、Lovelyz、MONSTA X、Tiger JK、Yoonmirae、Zeebra(特別出演)
5月21日(日):Block B、CODE-V、GFRIEND、K.will、PENTAGON、SEVENTEEN、少年24 UNIT BLACK、宇宙少女

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