EV自動車ベンチャーが新モデル発表
京都に拠点を置く「GLM」は、EVに特化した小規模生産の自動車メーカー。現社長の小間裕康氏が、京都大学大学院2年生の時に立ち上げたベンチャー・ビジネス・ラボラトリーの「京都電気自動車プロジェクト(2006年発足)」が母体で、2010年4月に設立された。
2015年10月から本格的な生産を開始しているGLM第1弾のトミーカイラZZは、3.9秒で0-100km/h加速をこなす2シーターオープンのEV。最高速は180km/h、航続可能距離は120kmを実現している。
「和製テスラ」ではなく「EV版フェラーリ」を目指す
「GLM」は、同じEVベンチャーであるアメリカのテスラモーターズと比較されるという。両社ともにEVベンチャーであることに加えて、第1弾モデルが2人乗りのEVオープンカーということもあって「和製テスラ」と呼ばれるのだろう。
しかし、4月18日、4000万円の4人乗りEVスーパースポーツカー「GLM-G4」を発表した際、「和製テスラ」ではなく「EV版フェラーリ」を目指す姿だと質疑に答えている。
その心は、クルマが単なる合理的な移動手段になりつつあるいま、時代の要請に応えるEVで「心からワクワクできるクルマを提供する」したいという志によるもの。
また、自動車関連技術が集結する日本で最高の技術を備えたモデルをリリースすること。さらに、その高い技術を他社に提供するというビジネスモデルも見据えているということから、最高峰を目指すという意味で「EV版フェラーリ」を標榜したと思われる。
0-100km/h加速を3.7秒でこなすEVスーパーカー
さて、4月18日に披露された「GLM-G4」は、想定価格4000万円、世界で1000台の販売を掲げたEVスーパーカー。日本だけでなく、欧州、香港や中国、中東での販売を計画していて、2019年の量産化に向けて年内にも試作車での走行テストを行うとしている。
「GLM-G4」は、専用の高効率、高出力モーターを車両前後に2つ配置した4WDで、最高出力は400kW(540ps)、最大トルクは1000Nmに達するという。さらに、2つのモーターがタイヤの回転力を調整する制御技術(トルクベクタリング)を搭載し、走行時の動力を最大化させ、スムーズなハンドリングにも寄与すると予想される。
0-100km/h加速は3.7秒、最高速は250km/hに到達し、航続可能距離は欧州の試験モードであるNEDCで400kmを実現するとしている。
世界に誇れる技術集団として育つ素地はある
夢物語に聞こえる「GLM-G4」だが、同社には大手の自動車メーカーや部品メーカーから人材が集結しているという。現在は社員22人、エンジニアは15人という小規模メーカーではあるが、同車の開発に向けて技術者を30人程度にまで増やしたいとしている。
日本はテスラを生んだアメリカに負けない高い技術の集結地であり、世界に誇れるEVメーカー、技術集団として育つ素地はあるはずだ。GLMの今後に注目が集まるのは間違いないだろう。