初の女性監督のもとで世代交代を

なでしこジャパンこと日本女子代表が、新たなフェーズを迎えている。
 

2011年のワールドカップ(W杯)優勝と翌12年のロンドン五輪銀メダルにより、なでしこジャパンは女子サッカー界の主役に躍り出た。15年のW杯でも準優勝を成し遂げるが、その代償として世代交代が先送りになっていた。
 

翌16年冬に行なわれたリオ輪のアジア最終予選で、日本は6か国中3位に終わる。4大会連続の五輪出場を、逃してしまった。チームを世界レベル押し上げた佐々木則夫監督は退任し、元なでしこジャパンの高倉麻子監督が指揮権を託された。なでしこジャパンの歴史で、女性が監督を務めるのは初めてのことだ。この高倉なでしこは9日、熊本市でコスタリカ女子代表との国際親善試合で国内初陣を飾る。
 

来年のW杯予選へ向けて強化

高倉
高倉監督に課せられたミッションとは(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なでしこジャパンの現在のターゲットは、2018年4月のアジアカップだ。この大会で上位5か国に入り、翌19年にフランスで開催されるワールドカップ(W杯)の出場権を獲得するのが、高倉監督に課せられたミッションとなる。
 

ほぼ1年後の真剣勝負へ向けて、48歳の指揮官は世代交代を進めている。澤穂希は現役を引退し、彼女とともに2011年W杯優勝を飾った宮間あや、大野忍、川澄奈穂美、岩清水梓らは招集されていない。
 

若手が増えたチームに経験を持ち込むメンバーは

6年前にドイツで世界の頂点に立ったメンバーでは、永里優季、熊谷紗希、阪口夢穂らが若手の増えたチームに経験を持ち込む。
 

永里は29歳のストライカーで、長くドイツでプレーしている。なでしこジャパン歴代2位の得点を記録している決定力は、高倉監督のもとでもチームの強みとなるだろう。
 

熊谷は26歳のセンターバックで、フランスの強豪リヨンに所属している。173センチのサイズは日本の女子選手では長身で、ディフェンスリーダーの役割を担う。2月の国際大会ではキャプテンも務めた。
 

阪口は中盤の大黒柱だ。澤のアイコンだった背番号10を引き継ぎ、攻守両面でゲームに深く関わる。国際試合の経験が豊富な選手では、左サイドで輝くDF鮫島彩(29歳)、MF宇津木瑠美(28歳)、FW岩渕真奈(24歳)らも、高倉監督の構想にいる。
 

次代のなでしこジャパンを背負う才能は

次代のなでしこジャパンを背負う才能も芽吹いている。日本はU-17(17歳以下)W杯で2014年に優勝、16年は準優勝を飾っている。U-20W杯でも、12年に3位に食い込んだ。若年層から世界の舞台を経験している選手は多いのだ。
 

長谷川唯
注目株の長谷川唯(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

世代交代を推し進める存在では、MF長谷川唯(20歳)が注目株だ。“黄金世代”と呼ばれる2014年のU-17W杯優勝メンバーのひとりで、同大会でチームを指揮した高倉監督の秘蔵っ子でもある。身体は小さいがボールを運ぶスキルに優れ、個人で局面を打開できる。思い切りの良いシュートも持ち味だ。
 

籾木結花(20歳)も期待を集める。なでしこリーグ1部を15年、16年と連覇している日テレ・ベレーザで、この左利きのアタッカーは背番号10を背負っている。16年度はリーグのベストイレブンに選出された。
 

2020年の東京で大輪の花を咲かせるために

国際サッカー連盟(FIFA/フィファ)による最新の世界ランキングで、なでしこジャパンは6位となっている。同1位のドイツや同2位のアメリカといった世界のトップ・オブ・トップとは、やや力の差がある印象だ。
 

男子サッカーの五輪は23歳以下のチームで編成されるが、女子サッカーには年齢制限がない。なでしこジャパンがそのまま出場できる。19年のW杯を経て2020年の東京で大輪の花を咲かせるために、高倉監督とその仲間たちは強化を続けていく。