茨城県区間が開通した圏央道 茅ヶ崎ーつくばを走行して見えた課題

2月26日に圏央道の茨城県内区間である境古河IC~つくば中央IC間の約28.5kmが開通し、神奈川県の茅ヶ崎JCTから千葉県の大栄JCTまでがつながった。先日、茅ヶ崎JCTから出発し、新規開通区間を含む圏央道を走行したので、その感想等をレポートしたい。

茨城県区間が新規開通した圏央道

2017年2月26日(日)に、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の境古河IC(茨城県猿島郡境町)~つくば中央IC(茨城県つくば市)間の約28.5kmが開通し、神奈川県の茅ヶ崎JCTから東京都、埼玉県、茨城県を経由し、成田空港手前の千葉県の大栄JCTまでが一本でつながった。
 

これにより、東京都心から放射線状に伸びる東名、中央、関越、東北、常磐、東関東の6つの高速道路が圏央道で結ばれたことになる。

 

先日、水戸の偕楽園の梅を取材するため、茅ヶ崎JCTから茨城県内の新規開通区間を含む圏央道を経由し、常磐道で水戸まで走行してみた。開通からおよそ一ヶ月が経つ新規開通区間を中心に、道路の状況や走行を踏まえての感想等をレポートしようと思う。

 

茅ヶ崎~つくば圏央道走行レポート

3月中旬の平日の朝、9:00過ぎに茅ヶ崎JCTから圏央道に乗り、東名道と交わる海老名JCT、高尾山トンネル、中央道と交わる八王子JCT、そして関越道と交わる鶴ヶ島JCTを通過し、桶川加納IC付近に到達したのが、10:30頃。
 

同じ時間帯、首都高などではあちこちで渋滞情報が出ているのをよそに、圏央道は渋滞もなく、ここまで極めてスムーズに走ってきた。

  

他の道路の渋滞情報が表示される中、圏央道はスムーズに走行できた
他の道路の渋滞情報が表示される中、圏央道はスムーズに走行できた(写真:古野裕子)

 

続いて、東北道と交わる久喜白岡JCTを過ぎると少し気になることがあった。ここから先は所々で車線が減少し、片側一車線ずつになる区間があるのだ。
 

一般道や交通量の少ない地方の道ならともかく、幹線の高速道路で一車線では、万一事故などが発生した場合、かなりの時間にわたり不通になりこともあるのではないか。

 

圏央道の片側一車線区間
圏央道の片側一車線区間(写真:古野裕子)

 

幸手(さって)ICを過ぎ、五霞(ごか)IC付近からは茨城県に入るが、この辺りからは防音壁の高さが低くなり、車窓から風景が見られるようになる。

 

利根川を越えると間もなく到達する境古河ICから先が、2月26日に開通したばかりの新規区間だ。この先、板東ICを過ぎた付近など、何ヶ所かに追い越し車線が設けられている部分があるものの、基本的には片側一車線区間が続く。

そして、常磐道と交差するつくばJCTに到達したのが、11:20頃。茅ヶ崎からここまで、およそ2時間半の旅だった。

 

実際に走行してみて感じたこと

■走りやすさ

まず、良い面は、圏央道は、最初に開通したのが1996年の東京都の青梅IC~埼玉県の鶴ヶ島JCT間であり、他の主要高速道と比べて歴史が比較的新しく、道路の整備状態が良いため、全般的に走りやすい印象だ。
 

■渋滞は多いのか?

次に、圏央道も、もちろん曜日や時間帯によっては渋滞が発生するものの、首都高をはじめ都心エリアを通過する他の路線に比べれば渋滞が少ないのは間違いないだろう。筆者が走行した時間帯は、茅ヶ崎からつくばまで、渋滞により低速運転になることは一度もなかった。

 

境古河IC付近。まだアスファルトも真新しく、快適な走行が楽しめる
境古河IC付近。まだアスファルトも真新しく、快適な走行が楽しめる(写真:古野裕子)

 

■片側一車線区間が多い

一方、圏央道が不便だと感じるのは、まず、片側一車線区間が多く、トラックなどが低速走行していても追い越せない区間が多いことだ。
 

■PA、給油できる場所が少ない

また、パーキングエリアが極端に少ないのも気になる。茅ヶ崎からつくば間にパーキングエリアは、厚木PA、狭山PA、菖蒲PAの3ヶ所しかなく、しかも、給油ができるのは、NEXCO東日本のページによれば2017年3月現在、菖蒲PAと狭山PAのみだ。

しかも、狭山PAは内回り・外周りともに小型車は100台以上駐められるが、厚木PAは内回り・外周り各42台、菖蒲は内回り・外周り各66台(いずれも小型車)分しか駐車スペースがない。
 

圏央道に乗る前に、ガス欠対策と、トイレ対策はしっかりととっておかなければならない。

 

今後の課題は

今回、実際に走行してみての感想だが、圏央道の新区間開通により、今のところは「便利になった」という印象を受けた。成田空港へのアクセスや、神奈川県・東京都の多摩地域・北関東方面の相互アクセスが格段に良くなったのは間違いない。

 

しかし、圏央道はレジャーのみならず、物流の新動脈としても期待されるため、圏央道沿道地域に工場の進出を予定する企業が多いという話もきく。
 

今後、輸送トラック等が増加すれば、現在の片側一車線区間や、パーキングエリアの不足の状況は、渋滞や事故の誘発等、深刻な問題を引き起こす可能性があると懸念せざるを得ない。

 

圏央道経由と都心経由の距離・時間を比較

圏央道を利用予定の読者も多いと思うので、参考までに、茅ヶ崎~つくば間で、圏央道経由と、東名道・首都高・常磐道を走る都心経由とをナビゲーションサイトで距離・所要時間について比較してみた(渋滞は考慮しない)。その結果、

◆圏央道経由 距離:170.4km、所要時間:2時間20分
◆都心経由 距離:126.4km、所要時間:2時間8分

となり、渋滞を考慮しない場合、都心経由のほうが距離も所要時間も短いのだ。しかし、実際は都心で渋滞に巻き込まれないことなどは希だし、交通事情を見ながらルートを選択する必要がある。

  

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