24歳の柴崎がついにデビュー!
移籍からおよそ50日を経て、柴崎岳が待望のデビューを飾った。3月18日に行なわれたスペイン2部リーグのゲームで、テネリフェの一員としての第一歩を記したのである。後半途中からピッチに立ち、背番号20のユニフォーム姿を披露した。
1992年5月生まれの柴崎は、攻撃力と守備力を高いレベルで備えるミッドフィールダー(MF)だ。青森山田高校を卒業した2011年に鹿島アントラーズに入団し、プロ1年目から試合に出場していった。2年目にはJリーグのベストヤングプレーヤーを受賞し、4年目の14年にはベストイレブンに選出された。
サッカー日本代表には2012年に初選出され、2年後の14年8月にデビューを飾る。当時のハビエル・アギーレ監督は、このMFを高く評価していた。ヴァイッド・ハリルホジッチ現日本代表監督からも、招集を受けたことがある。このところはチームに加わっていないものの、ハリルホジッチ監督は50人から55人規模の候補選手のリストに入っていることは公言している。なお現在の日本代表では、宇佐美貴史(アウクスブルク/ドイツ)と同学年だ。
クラブW杯でのゴールが移籍を後押しした
アントラーズは選手の海外移籍に寛容で、柴崎はかねてからヨーロッパ行きを探ってきた。可能性を拡げたのは、昨年12月のクラブW杯決勝だっただろう。レアル・マドリード相手に2ゴールを決め、国際的な知名度が大幅にアップする。当初はスペイン1部リのクラブへの移籍も噂されたが、2部のテネリフェ移籍に着地した。
2部といってもレベルは高い。柴崎のような代表クラスの選手も数多い。22チームが2回戦総当たりで争うリーグは、心身ともにタフさが問われる。
デビューまでの時間は柴崎にとって必要な「助走」
公式戦デビューまで1ヶ月半以上の日々を要したのは、環境への適応に時間を費やしてきたからだった。ピッチのなかでテネリフェのサッカーを身につけ、並行してピッチ外でスペインの生活に馴染むのは、誰にとっても簡単ではない。
日本のJリーグにやってくるブラジル人のなかにも、環境への適応に苦しむ選手はいる。日本のクラブはブラジル人の受け入れに慣れているが、それでもホームシックにかかる選手はいるのだ。移籍からデビューまでの日々は、異文化に飛び込んだ柴崎にとって必要な助走だったのだろう。
新天地での第1戦は難しいシチュエーション
デビュー戦のプレー時間は、20分にも満たないものだった。アウェイゲームで1対0とリードしている相手は、ジワジワと守備を固めていった。新天地での第1戦としては、難しいシチュエーションである。
そう考えると、悪くないデビューだったと考えられる。得点やアシストのような分かりやすい結果こそ残せなかったものの、しっかりとした技術の持ち主であることは示せたからだ。
スペイン2部での日本人対決も?
スペイン2部はここまで30試合を終え、テネリフェは4位につけている。1部に自動昇格できるのは上位2チームと、3位から6位が争うプレーオフを勝ち抜いた1チームだ。
首位のレバンテが勝点68、2位のジローナが勝点58を積み上げている一方で、3位のカディスは勝点50、4位のテネリフェと5位のオビエドは勝点46、6位のヘタフェは勝点44、7位のウエスカは勝点43と、プレーオフ進出争いは拮抗している。緊張感のある戦いは、柴崎を成長させるに違いない。
日本人対決にも注目が集まる。スペイン2部のヒムナスティックで、日本代表経験を持つ鈴木大輔が在籍しているのだ。27歳のディフェンダーは在籍2シーズン目で、レギュラーとしてプレーしている。
シーズンが最終盤となる6月5日、テネリフェのホームスタジアムで対ヒムナスティック戦が開催される。そのとき、柴崎はどのような立場を築いているのか。24歳のチャレンジはプロローグを経て、いよいよ第一章へ突入していく。