6歳以下が全体の84%、原因はお菓子など
消費者庁は15日、14 歳以下の子どもの食品が原因となる窒息死事故が2010~14年の5年間で103件発生していたことを明らかにした。うち、0歳が49件で全体の47%、6歳以下の子どもでは87件と、全体の84%を占めた。
窒息死事故103件の原因となった食品はマシュマロやゼリーなど菓子類11件、りんごやぶどうなど果実が5件。菓子パンやからあげ、寿司やそうめんなどもあったという。
消費者庁は厚生労働省「人口動態調査」の調査票情報を分析して発表した。なお、14 歳以下の子どもの窒息死事故の内訳は、就寝時(173件/28%)、胃内容物の誤えん(170件/27%)、食物の誤えん(103件/17%)の順となっている。
どうしてこのような危険が伴うのだろうか。またリスクとなり得る食品や注意すべきことはあるだろうか。これに関して、All Aboutの複数の専門家が解説をしている。
乳幼児の喉に詰まりやすい食品とは
管理栄養士で離乳食アドバイザーの川口由美子氏はAll Aboutの『赤ちゃんが喉に詰まらせやすい食材』の中で「ちょっとした工夫をしてあげることで、窒息事故は事前に防ぐことができる」と述べている。そもそも、どのような食材が乳幼児の喉に詰まりやすいのだろうか。川口氏は次のものを挙げている。
- ピーナッツなどのナッツ類、豆類
- あめ玉
- 一口タイプのこんにゃくゼリー
- お餅
- プチトマト
- キャンディチーズ
- ぶどう
なぜ乳幼児にとって「危険な食品」になるのか
これらの食材が危険な理由はなにか。乳幼児の咀嚼(そしゃく=噛む力)は、大人に比べて不充分であり、ここで挙げたような食材は、気管に詰まりやすい大きさであり、また溶けにくいものと考えることができる。
川口氏は、乳幼児には“きちんとした大きさ、固さのものを選んであげる必要”があり、口どけの良い食材を選んだり、喉につまりにくくするように切ったりする工夫が必要と述べている。
「これらを与える場合は、半分に切ってあげたり、食べる時にはしっかりお子さんを見守るなどの注意が必要です。ミニトマトやキャンディチーズは、簡単に栄養が補える食材ですので、そのまま食卓にのぼりがちですが、どうかひと手間かけてくださいね」(川口氏)
乳幼児の食べ物による窒息リスクを減らす注意点
食と健康アドバイザーの南恵子氏もAll Aboutの『喉に詰めやすい食品と注意点』で乳幼児や高齢者が窒息する危険がある食材を紹介しながら、乳幼児の食べ物による窒息リスクを減らすためにやるべきこととして以下の注意点を挙げている。
- 誤って気管支に入りやすいピーナッツなどの豆類は3歳になるまでは食べさせない
- 急停車する可能性のある車や揺れる飛行機の中では食べさせない
- あおむけに寝た状態や、歩きながら、遊びながら、ものを食べさせない
- 食べ物を口に入れたままの会話、テレビを見ながらの食事はさせない
- 小さな食べ物を放りあげて口で受けるような食べ方をさせない
- 食事中に乳幼児をびっくりさせるようなことはしない
- 乳幼児に食べることを無理強いしない
- 年長の子どもが乳幼児に危険な食べ物を与えることがあるので注意する
- 嚥下障害をもつ障害児では食べ物による窒息がおこりやすく、十分な注意が必要である
「今の時代は、家族だけで、乳幼児や高齢者のお世話をするとは限りません。様々な人が関わる場合、全員がこうした内容を共有しておくこと、またもしも喉に食べ物が詰まった時の応急手当法なども併せて知っておくことが大切だと思います」(南氏)
応急処置の方法 参考:
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