消費者庁は24日、厚生労働省の「人口動態調査」の調査票情報を5年分集計し、1歳未満の乳児の死亡原因について初めて調査した結果、不慮の事故による死亡が全体で502件だったことがわかったと発表した。不慮の事故のうち、8割は窒息死、中でも0歳児の就寝時の窒息死事故が160件で全体の3割超で最も多かった。ミルクなど胃の内容物の誤嚥(ごえん)による窒息死は113件(22%)、食べ物の誤嚥による窒息死も49件(10%)。そのほとんどが家庭内で発生しているといい、消費者庁は注意喚起している。
乳幼児の窒息死を防ぐために、家庭ではどんなことに注意すればいいのだろうか? All Aboutの複数の専門家が次のように解説している。
*****
寝返りができるようになったら夜間の窒息には注意が必要
今回の調査でもっとも多かった就寝時の窒息死。子育て支援士である田宮由美氏によると、寝返りをするようになったときに注意が必要だという。寝返りができても、「寝返りがえり(うつ伏せになった状態から元に戻ること)」ができない場合があり、まだ手や足を動かし、自由に体勢を変える事ができない赤ちゃんは、長時間うつ伏せになったままという状況になり、窒息などの危険が生じるという。
特に夜などは、気づきにくいため、下記の点も含め注意が必要だという。
- 柔らかすぎる寝具は顔が埋もれる恐れがあるので、避ける。
- 枕元にタオルなど、窒息の原因となるような物は置かない。
- シーツがたるみやすいと、顔にかぶさる可能性もあるので、気をつける。
また、助産師の浅井貴子氏によると、一般的に赤ちゃん用に販売されているセットの組布団は新生児~半年の赤ちゃんにとっては重たく、とてもかさばり、身動きしづらいものなので、少し大きくなってから使用するとよいという。布団でもベッドでも、下に敷く部分は四季を通じてマットレス+防水シート+シーツ+バスタオルという組み合わせがおすすめだと浅井氏は述べる。昔はマットレスの上に敷き布団なども敷く場合も多かったが、窒息などの危険もあるので、寝るところは硬めにするのが基本だという。
その他、消費者庁でも「寝室には、子供の頭や顔が挟まってしまう隙間をなくすこと」「1歳になるまでは、寝かせる時はあお向けに寝かせる」「添い寝をしたまま寝込んでしまい、保護者の身体の一部で子供を圧迫してしまわないように」など注意を促している。
窒息死の危険がある食べ物は?
管理栄養士で、幼児食の専門家である川口由美子氏によると、口どけの良い食材を選んだり、喉につまりにくい切り方をするなど、ちょっとした工夫をしてあげることで、窒息事故は事前に防ぐことができるという。喉につまらせる可能性がある食材は、
- ピーナッツなどのナッツ類、豆類
- あめ玉
- 一口タイプのこんにゃくゼリー
- お餅
などが挙げられるという。ほかにも、よく食卓に上る意外な食べ物として
- プチトマト
- キャンディチーズ
- ぶどう
などはちょうど気管に詰まりやすい大きさであり、また溶けにくいものですので、与える場合は、半分に切ったり、食べる時にはしっかり子どもの様子を見守るなどの注意が必要だという。
大人のちょっとした心配りで防げる乳幼児の窒息死事故。子供たちの命を守るため、正しい知識を身につけておきたい。
【関連記事】