フォードの遺産を活かしながら好調な自動車メーカー3社
アメリカのフォード傘下から独立、あるいは別の企業の傘下に収まった自動車メーカーが好調だ。ボルボは2016年に過去最高の販売台数を叩き出し、ジャガー・ランドローバーもインドのタタ傘下に入ってから同グループの稼ぎ頭になり、英国自動車メーカーの復活を印象づけている。また、マツダはモデルチェンジの端境期のため日本市場などでやや元気はなく2016年は減益だが、グローバルでの販売台数は過去最高を記録している。
ボルボ、ジャガー・ランドローバー、マツダの3社がフォード時代に得た知見や技術は無視できず、現在の好調に活かされている面は「目に見えるもの、目に見えないもの」を含めて結構あるだろう。しかし、共通しているのはフォードという大きなメーカーの傘下から離れることで危機感を抱き、明確なビジョンを持って立て直し、それが実を結びつつある。
ボルボの新作は新世代を象徴するモデルに
ボルボが2月22日に発表、発売したセダンのS90、ワゴンのV90、ワゴン派生型SUVのV90クロスカントリーは、XC90とともにボルボのフラッグシップに位置する。好調ボルボをさらに加速させる期待作だ。
新生ボルボが採用している「SPA」と呼ぶ新プラットフォームをXC90と同様に採用し、パワートレーンも自社開発の「Drive-E」を搭載。新世代ボルボを象徴するモデルに仕上がっている。
日本で好調な理由は「安全性」と「デザイン革命」
ボルボが日本でも好調なのは、日本で初めて衝突被害・軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)を採用した「安全」が大きな購入動機になっているのは間違いない。さらに、新生ボルボの第一弾といえるXC90から始まったデザイン革命もあるだろう。
それも自社製の「SPA」という新プラットフォームが採用できたからこそで、S90、V90、V90クロスカントリーは、日本人も家具などでイメージしやすい「スカンジナビアン・デザイン」そのもののスタイリッシュな仕上がりになっている。
安全では、大型動物検知機能を全車に標準装備するなど、スウェーデンで起きているヘラジカとの衝突に対応(ドライバーに衝突回避を促すか、自動ブレーキで減速して被害を軽減する)。日本では北海道でエゾシカとの衝突事故が数多く起きているが、エゾシカにも対応する可能性があるという(現在、ボルボ・カー・ジャパンが本社に確認中)。
S90はパーソナル感のあるセダンで、ワゴンのV90よりも全長が長いほどだから前後席にも余裕があり、身長180cmの乗員が4人座っても余裕でロングドライブが楽しめるはずだ。
V90は広大かつ使いやすい荷室が魅力で、リヤゲートの開閉に合わせてトノカバーが自動で上下する機能も搭載された。V90クロスカントリーは、XC70の後継モデルで、V90よりも最低地上高を55mm高めるなど悪路走破性を高めている。
いずれのモデルを選んでも最近のボルボらしいセンスの良さ、そして高い安全性、部分自動運転機能を享受できる。好調ボルボの牽引役になるのは間違いなさそうだ。
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