応募者が殺到、倍率は12倍となった東京マラソン
2017年の大会には32万人超の応募者が殺到、抽選倍率は12倍超となり、話題となっている東京マラソン。今年の開催は26日、毎年、大変な盛り上がりをみせているが、幸運にもランナーとして走ることができる人にとって、気になるのは本番で実力を出し切れるかどうかだろう。数々のマラソンを自ら走り、取材・執筆するスポーツライターである三河賢文氏がAll Aboutの『マラソン大会前の良い過ごし方と、避けたい過ごし方』の中で次のように解説している。
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レース中にトラブルに見舞われる場合も
日々トレーニングに取り組んでいても、マラソン大会前の過ごし方次第では、レース中に思わぬトラブルが起きてしまうと注意を促す三河氏。年間20本程のレースに出走し、ファンランから記録狙いのポイントレースまで、常にコンディションに配慮しながら失敗と成功を経て、現在はある程度決まった過ごし方でレーススタートを迎えているという。そんな三河氏が自身の経験から、レース前の「おすすめの過ごし方」と「避けた方が良い過ごし方」を紹介している。
レース前におすすめの過ごし方
■睡眠を十分にとる
マラソン大会当日は、早起きが必要となることが多いが、可能な限り、普段と同程度の時間を確保することがおすすめ。身体が睡眠を欲した状態では、思うように身体が動かない。寝坊してスタート直前に会場入り…なんてことになれば、レース前の準備も効率的に進められないので、気持ちにゆとりを持つためにも、睡眠時間の確保は大切。
■朝シャワー
朝起きたら、少し熱めのシャワーを浴びると、湯の熱が身体をスッキリと目覚めさせてくれる。身体を温めすぎると、眠気を引き起こしてしまう可能性があるので入浴はおすすめできないという。
■朝食は段階的に食べる
朝食は“いつも通り”を基本に、時間を分けて食べたい。できるだけ緩やかに内臓を動かし、少しずつ消化させてあげるため。例えば「ごはん」「味噌汁」「おかず」の基本となる朝食を2.5時間前に食べ終わり、1.5時間前におにぎりやカロリーメイト等を追加。そして1時間前にエネルギー系のゼリー飲料を飲むといったイメージ。場合によって、BCAAなどサプリメントも摂取する。フルマラソンなら約2500kcalを消費するが、レース前の摂取カロリーは約1000kcal程度。
■ランニングドリル
大会会場に着いたら、ランニングドリルを実施。身体の動き、特に関節部の動きや筋肉の状態を確認すること。このとき、動き過ぎて疲れてしまわないように注意。
■トイレは計画的に
大会会場や最寄り駅のトイレは混雑するので、ひとつ前の駅で一旦降りてトイレを済ませてから再び向かうなどの工夫が必要。記録ではなく完走目的ならば、休憩だと思ってレース中に行くと割り切るのも1つの方法だが、尿意・便意は、想像以上に走りにも影響を与えるので注意したい。
レース前に避けた方が良い過ごし方
■カーボローディング
ランナーの中には、レース本番で必要になるエネルギーを体内に蓄える目的で「カーボローディング」を行う人が多い。大会によっては、前夜祭としてパスタパーティーが行われることも。しかし前日のみのドカ食いはNG。いきなり大量の食事をすると身体が重く感じたり、腹痛などの原因となることも。カーボローディングを行うのであれば、せめて1~2週間かけて計画的に。
■ストレッチ
賛否両論あるが、三河氏はストレッチをレース前に“しない”派。人間は筋肉を収縮させて運動するが、ストレッチはその筋肉を伸ばしてしまう。走る前に伸ばしてしまうと、パフォーマンスの低下に繋がるという考えからだという。
■ウォーミングアップ
いきなりトップギアで走り抜けるシリアスランナーならば、事前に身体を温めることは有効かもしれないが、ウォーミングアップとはいえ、“走る”ことは体力・筋力を消費してしまう。ほとんどの大会では、スタートから1~2km程の区間では混雑のためスピードが出せないので、コースに余裕ができるまでウォーミングアップ代わりにペースを抑え、身体が温まった段階でペースを上げるほうが得策という考えも。
他にもレース前はイメージトレーニングを行ったり、仲間と会話を楽しんで緊張をほぐしたり、荷物預けや当日受付など、大会によってレース前に行うべき行動も異なるという三河氏。コンディションを確認しながら、いろいろな過ごし方を試してみることで自分に合ったレース前の過ごし方が見つかれば、常に落ち着いてレースに臨むこともできるようになるとアドバイスしている。
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