「不安障害」の可能性があると報じられている
この冬、鹿島アントラーズからスペイン2部テネリフェに加わった柴崎岳が「不安障害」の可能性があると報じられている。クラブのホームページでは、医療スタッフが診察を受けるよう勧めていることも記されている。
柴崎を苦しめているとされる「不安障害」とはどのようなものなのだろうか。メンタルヘルスについて詳しい中嶋泰憲氏がAll Aboutの『不安障害 (パニック障害・強迫神経症)』で解説をしている。
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不安や恐怖の感情は生き抜く上で不可欠だが…
中嶋氏によると、大切な試験が迫っていたり、失敗してはいけないプレゼンテーションがあるなど、はっきりした原因がある時は不安な気持ちが抑えられなくなることは当然あることだが、特に理由もなく、何となく落ち着かなかったり、嫌な気がする場合や、不安や恐れの気持ちがその場の状況にふさわしくないほど強くなっていたら心の病気の可能性も出てくるという。
不安や恐怖の感情自体は、人が生物として生き抜く上で不可欠なもの。例えば、何か重大な危険に遭遇した時は、その場から逃げたり、その危険の元と対決したりといった行動に移すことになる。
こうした時は、不安や恐怖に襲われると共に、体内からアドレナリンが分泌され、呼吸は速く、心拍数は増し、汗が噴き出して来る。
「不安や恐怖の感情で問題となるのは、それらがその場の状況に相応しくないほど強くなってしまう場合がある事です」
不安障害にはどのようなものがあるか
不安障害には下記のようなものが挙げられる。
- パニック障害(日常的な状況でパニック発作が起きる)
- 対人恐怖症(対人状況で不自然なほど強い不安症状が出現してしまう)
- 全般性不安障害(特にはっきりした理由もないのに過剰な不安感が生じる)
- 強迫神経症
強迫観念と、そこから生じてくる不快感や不安を払いのける為に行う強迫行為が特徴。それが生活を大きく占めるようになると支障が表れる。例えば、鍵を確認する日常的な行為も、鍵がかかっているか気になり、振り払えないほど頭の中を占め、鍵の確認を何度繰り返しても、不快感や不安を取り除けなくなるといった症状が起こる。 - PTSD(心的外傷後ストレス障害)
自然災害、戦争など生死に関わるような衝撃的な体験の為に心に深い傷が残り、月日を経てもその時の体験を過去のものにする事ができず、脳裏にあたかも今、起こっているかのようにフラッシュバックしたり、悪夢となって現われる
対処方法はあるのか?治療は?
対処方法について、中嶋氏は「日常的な不安や恐怖の気持ちに打ち勝つには慣れる事が一番の解決法だと思いますが、こうした不安障害で見られる、不合理な程、強い不安症状に対しては心理療法や薬物療法による治療が必要不可欠になります」と述べている。
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