冬場は事故は事故が増えるので要注意
製品評価技術基盤機構(NITE/ナイト)は、家庭における電気製品の増加に伴い、延長コードやテーブルタップなどの配線器具を不注意に取り扱うと、火災などの事故に至るおそれがあるとして、26日に注意を呼びかける発表をした。配線器具の製品事故件数は平成27年までの5年で合計322件。このうち6割が火災につながっており、中でも冬場が多いとしている。暖房器具など消費電力の大きな製品が多いことが原因とNITEはみている。
事故は、「電源コードの度重なる踏みつけ」、「定格を超えた電気製品の接続」、「ねじり接続」、電源プラグにほこりが付着したことによる「トラッキング現象」など、使用時の不注意による事故が多いという。
トラッキング現象による火災やその防止法については、一級建築士で住まいの安全について詳しい井上恵子氏がAll Aboutの『住宅のトラッキング火災を予防する方法』で解説をしている。
**********
トラッキング火災とは?
トラッキング火災とは、コンセントにプラグを差し込んだままにしたところにホコリが溜まり、電流が流れて発電・発火するというもの。
「コンセントにプラグを差し込み、そのままにしておくと上にホコリがたまります。そのホコリが湿気を帯びて、プラグの電極間で放電が始まり、発熱・発火に至ることをトラッキング火災といいます。大型家具の裏の差し込みっぱなしのコンセント付近のほか、水を扱う台所、洗面所付近のコンセントも要注意です」
家の中の冷蔵庫やベッドなど大型家電・家具の後ろにあるコンセントにはなかなか目が届かない場所で、溜まったホコリが原因で「知らず知らずのうちに火災の原因となってしまう」ところがトラッキング火災の怖いところだと井上氏は指摘している。
トラッキング火災予防1:コンセント・プラグを正しく使う
トラッキング火災を予防するためには、井上氏は次の点を気を付けてほしいと述べている。
- 定期的にコンセント周りの掃除をし、ホコリを取り除く
- 使用しないときはなるべくプラグを抜くようにする
- プラグを抜くときはプラグ本体を持ち、差し込むときは奥までしっかり差し込む
「特に注意したい部分は換気扇、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、洗面台、テレビのプラグです。ぜひ定期的にコンセントやプラグ周りをチェック、掃除をするようにしてください」
トラッキング火災予防2:専用器具を使うのもおすすめ
コンセントやプラグ周りをこまめに掃除ができない場合は、あらかじめ火災予防措置をとった専用の器具を使うことを井上氏は勧めている。専用器具にはコンセント側に工夫されているものや、プラグ側に工夫されているものがあるという。
■例1:コンセント側にトラッキング火災予防策を取る
- 小さな放流電流をキャッチしてブザーとランプでお知らせする「アラーム機能」
- 小さな放流電流を検知したら回路を遮断する「遮断機能」
といった機能が搭載されたコンセント。新築住宅での採用はもちろん、既存のコンセントとの取り替えも可能とのこと。
■例2:プラグ側にホコリをよける工夫
プラグ側にトラッキング火災の原因であるホコリを避けるキャップを使用。使用していないコンセント用と、差し込んだままのプラグ用がある。
■例3:OAタップを有効活用
手が届かない位置にあるコンセントには、OA機器用延長コード(以下OAタップ)を有効活用。OAタップで目がいきとどく位置でプラグをつなぐことで、使用しないときにこまめに抜いたり、掃除しやすくなったりする。スイッチ付きのOAタップなら、プラグを抜かなくても手元のスイッチでON、OFFの切り替えが可能。
トラッキング火災予防3:OAタップは電気容量を守る
コンセント口がたくさんあるOAタップは便利だが、一つのOAタップで使用できる電気容量は決まっている。タップに「合計○○ワットまで」と記載があるので、必ず守るように。容量オーバーが原因でショートを起こすケースもある。
主な家電製品の消費電力の目安を確認し、OAタップの容量オーバーにならないようにしたい。
留守中や就寝中も要注意
井上氏は事故予防のための「OAタップ(延長コード)のチェックシート」を紹介して、繰り返し注意を呼び掛けている。
「トラッキング火災は、留守中や就寝中などに火の気がなくても突然起こる可能性があるので、大惨事につながることもあります。心配な場所には火災予防の専用器具を使用し、それらを使った場合でも、異常がないか、ススがついていないかなど、定期的にチェックすることを心がけましょう」
【関連リンク】