トランプ大統領誕生で揺れる世界の自動車業界

トランプ大統領が誕生し、自動車だけでなく日本の産業が大きな転換点を迎えようとしている。トヨタは北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)において、米国での大規模な投資を表明したが、その第1弾として米国インディアナ工場の増強と新規雇用も発表した。また、アメリカ車の日本への輸出に対しても気になる発言をしているという。日本の自動車業界はどうなるのだろうか。
 

トヨタが米国インディアナ工場の増強、新規雇用を発表

トランプ大統領就任後、GM、フォード、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)というアメリカの自動車ビッグ3などのトップを招いてトランプ大統領との朝食会を開催したというニュースを見た人も多いだろう。
 

このニュースと同時に各報道機関から流されたのは、トヨタの米国インディアナ工場への新規投資と雇用を決定したという発表。日本向けにも日本語によるプレスリリースという形で正式にアナウンスされている。
 

インディアナ工場
トヨタは北米のインディアナ工場全体を刷新するために、約6億米ドルを投資すると発表した


海外の工場新設や既存工場への投資という発表は、トヨタに限らず日本の自動車メーカーが行っていて珍しくはない。異例といえるのはこの投資により「新規雇用を400名程度予定している」というくだりだ。
 

現地時間24日、日本では1月25日に発表されたのは、「トヨタは、米国における生産事業体であるToyota Motor Manufacturing, Indiana, Inc.において、ミッドサイズSUVであるハイランダーへの旺盛な需要に対応するとともに、工場全体を刷新するために、約6億米ドルを投資する」というもの。
 

さらに、「2019年の秋より「ハイランダー」の年間生産能力を4万台増強するのに加え、設備の更新や新規導入、最新の生産技術を採用(中略)。今回の投資に関わる新規雇用は400名程度を予定している」と先述したように新規雇用について明言している。これは明らかにトランプ大統領を意識した内容だ。
 

ハイランダーの増産は既定路線だった

ハイランダー
写真はインディアナ工場で生産されているハイランダー


SUVのハイランダーを増産するのは、原油安により中型・大型車が売れまくっているアメリカのニーズに対応するもので、これはトランプ大統領就任前から決まっていた既定路線のはず。彼の地で売れていないエコカーを補完するにも欠かせない施策だ。
 

またトヨタは、先のデトロイトモーターショーにおいて「米国にある既存工場の競争力をさらに向上させるべく、今後5年で米国に100億米ドルを投じていく」と発表しているから、今回の第1弾に続き、第2弾、第3弾も同じように「わざわざ」アナウンスされるかもしれない。
 

「アメリカ車が日本で売れない」発言も…理由とは?

米国ビッグ3だけでなく、日本も含めてアメリカでクルマを数多く売るメーカーにとってトランプ大統領の言動から目が離せなくなっている。さらに、一部報道によると、「日本の自動車市場でアメリカ車が売れないようにしている」との趣旨の発言をしたという。
 

日本でもマーケットに合う輸入車(とくにドイツ車など)は、好調もしくは堅実な商売を続けている。しかも、アメリカから日本には関税が掛からないのに、アメリカは日本の乗用車に2.5%の関税を課している。
 

アメリカ車が売れないのは、(関税はないため)安全や環境、認証などの手間(障壁)のせいと主張しているのなら「まったく分かっていない」と言いたくなる。
 

日本側も輸入自動車特別取扱制度(PHP)という、少数輸入自動車のための合理化された認証手続きもあるし、PHPを超える台数の場合は、どのインポーターも型式認証を受けるのはもちろん、某ドイツ車メーカーなどは、日本の駐車場事情に合わせるべくアウタードアハンドルの形状を変えて輸入しているほどだ。アメリカ車が日本で売れないのは、何よりもまず、日本の消費者に合うクルマ作りができていないのが問題だろう。