2016年の自動車業界でまず「話題になってしまった」のは、三菱自動車の燃費計測データの不正問題。さらに、スズキでも計測方法に法令違反があり、軽自動車を中心とした燃費計測不正問題が軽自動車の販売にも影を落としてしまった。秋以降はトヨタとスズキの提携、日産が三菱自動車を傘下に入れるなど、主に軽自動車を中心とした動きだったのが2016年の自動車業界といえる。

  

軽自動車販売を直撃した燃費計測不正問題

三菱自動車の燃費計測不正問題は、カタログ燃費を左右する走行抵抗測定方法において、国内法規で定められた「惰行法」ではなく、同社独自の「高速惰行法」で測定されていた。

  

遅くても1991年末頃から「惰行法」によってテストコースでの実走実験で走行抵抗を測定するのではなく、動力性能実験に付随していた「高速惰行法」により測定した走行抵抗のデータを元に、惰行法によって走行抵抗を測定したかのような体裁を装っていた。長年にわたる不正により該当車種の生産・販売を中止。冒頭で紹介したように、三菱自動車が生産している日産の軽自動車も該当車種が販売中止となった(現在は再開している)。

  

2016年5月には、スズキも走行抵抗値の計測方法に不正があったと謝罪。スズキは、テストコースが風の影響などで試験結果にバラツキが出るなどの理由で、風洞実験施設装でテストした数値を採用。

  

その後の国交省による検証により、カタログ値よりも良い燃費が出るなど、三菱とは異なり「計測データそのものを改ざんする意図はなかった」というスズキの主張が裏書きされることになった。

  

三菱、スズキだけでなく、軽自動車の新型車が少なかったのも軽自動車の苦戦の要因だろう。ほかにも、2015年4月1日の軽自動車税増税(7,200円から10,800円)の影響は大きく、その前の駆け込み需要による先食いもあったはずだ。2016年度の軽自動車販売は170万台を割り込む可能性もあるという見方も出ている。

  

三菱が日産自動車傘下へ

燃費計測不正問題に揺れた三菱自動車は、過去のリコール隠しなどもあって独力で再生は不可能と判断、ルノー・日産連合のカルロス ゴーンCEOに助けを求めたのは周知のとおりだ。

三菱

1000万台規模への拡大を目指しているというカルロス ゴーンCEOにとって、異例のスピードで三菱自動車を傘下に収めたが、三菱車の国内販売台数がどれくらい回復するかは不透明といわざるを得ない。

  

とくに軽自動車は、ガソリン高になると燃費の良さが販売を大きく左右する。地道に信頼回復をするとともに、燃費向上策もコツコツと磨き上げる必要がある。日産にとってもとくにコスト面で厳しい軽自動車での燃費向上は容易ではないだろう。

  

一方で、一部報道によると、ルノー、日産、三菱による電気自動車のプラットフォーム共通化などもカルロス ゴーン氏は見据えているようだし、三菱自動車の得意分野である電動化はフル活用したいところ。もちろん、端からそのつもりだろうが……。

  

また、アジアで比較的シェアの高い三菱ブランドというのも魅力だ。軽自動車、電動化車両、アジアの3つが日産と三菱を結びつけるキーワードになるのは間違いない。

  

トヨタとスズキの提携も具体的な道筋はこれから

10月に入り、今度はトヨタとスズキの提携話が飛び込んでくる。スズキはフォルクスワーゲンと袂を分かった以上、自動運転技術や環境技術を自前でやり切るのは難しく、トヨタの力を借りたいのが本音だろう。

  

具体的にどうやって提携が進むのかは現時点では分からない。ダイハツを完全子会社化したトヨタは、軽自動車作りのノウハウよりもスズキが約40%ものシェアを誇るインドのような新興国の開拓手法の方が欲しいかもしれない。また、2017年1月には、トヨタとダイハツが新興国小型カンパニーを発足すると発表済みで、スズキも絡むのか絡まないのかはまだ見えていない。

  

ダイハツの完全子会社化も時間をかけて行ったトヨタは、ほかにもマツダ、スバルとも提携関係にあり、マツダはトヨタの技術供与を受けたアクセラ・ハイブリッド、スバルとはスポーツカーの開発、生産(スバルBRZとトヨタ86)という目に見える結果はあるものの、トヨタとスズキは「これからどうする?」といった段階に上層部が入ったばかりなのではないだろうか。

  

2016年は軽自動車を中心にあまり明るい話題がなかっただけに、東京モーターショーが開催される2017年は、世界をリードするようなトピックスが日本の自動車メーカーから数多く聞こえてくることを期待したい。