国連児童基金(ユニセフ)は12月1日の「世界エイズデー」に合わせて、2015年に世界の15~19歳の若者約25万人がエイズウイルス(HIV)に新たに感染したとする報告書を発表した。対策が進まなければ2030年の年間新規感染者は40万人近くに増加すると指摘し、予防・治療に向けた戦略を提案している。

   

また、世界保健機関(WHO)も調査結果を発表し、世界のHIV感染者の40%が自らの感染を自覚していないという結果を示した

  

厚生労働省は世界エイズデーに合わせ、啓発キャンペーンや無料検査を実施するとしている。これを機会に、正しい知識を得ておきたい。これに関して、All Aboutの専門家が解説をしている。

 

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そもそもHIVとエイズ(AIDS)の違いとは?

HIVとエイズ(AIDS)の違いについては薬剤師国家資格を持つ三上彰貴子氏が『HIV・AIDSの症状・治療法』で解説をしている。

  

HIVとはウイルスの名前。「ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)」の頭文字をとって「HIV(エイチアイブイ)」と呼ばれているという。HIVというウイルスは、ヒトの免疫に関係する細胞に感染(免疫細胞の中に入り込む)し、その免疫細胞を破壊してしまうので、ヒトの免疫機能が低下する。

  

三木氏によると、通常では感染しないような菌やカビ(真菌)などが、皮膚や粘膜などに付着しても病気を発症してしまうといい、このように後天的な原因により免疫が低下してしまう状態が「後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)」。この頭文字をとって「AIDS(エイズ)」と呼んでいる。

  

「すなわち、HIVというウイルスによって引き起こされる状態がAIDSです。HIVに感染しても、すぐにAIDSになるとは限りません。数カ月から数年、治療が奏功すれば数十年も発症しないこともあります」(三木氏)

   

どのような治療をする?

なお、HIVに感染すると、感染初期(急性期)、無症候期(症状が出ていない状態)、AIDS発症期といった3つの経過をたどると三木氏は述べる。治療では、ウイルス量を抑えることで、無症候期を長くして、AIDSの発症を抑えるという。

   

「最近は、新しい治療薬の出現と治療法がうまく奏功して、長期間AIDSを発症しないHIV感染者が増えています」(三木氏)

  

検査はどのようにする?

厚生労働省はエイズデーに合わせ、12月4月に渋谷にて無料の即日検査を実施するという。

  

さらに無料、匿名での検査は全国の保健所などでも実施しているが、どのような検査なのだろうか。これに関しては性感染症内科医師の内田千秋氏が『HIV即日検査は本当に15分で終わるのか?』で次のように解説している。

   

内田氏によると、感染しているHIVの陽性の検体を使って調べた感度比較では、精密検査も迅速診断薬を使って調べる即日検査でもほぼ同等という。ただし、迅速診断薬では、HIVに感染していなくても1000人に2人から5人は陽性反応(感染している)が出てしまうことがあるという。そのため内田氏は「即日検査で、疑陽性(感染の疑いがある)の診断を受けた人は、必ず確認検査を受けて診断を確定することが大切」と述べている。

  

即日検査に必要な血液は2ml。小さじ1杯で5mlなので、その半分以下の血液で検査をすることが可能という。また、HIV検査は感染機会から3ヶ月以上経過後に検査を受けると確実な診断となるという。

  

【関連リンク】

HIV・AIDSの症状・治療法

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