新潟県は29日、関川村の養鶏場で鳥インフルエンザの発生が確認されたと発表した。感染拡大を防ぐため、県は飼育されていた鶏約31万羽全ての殺処分に着手した。また、青森県も28日、青森市の食用アヒル農場で鳥インフルエンザの感染を確認。「フランス鴨」と呼ばれるアヒル約1万6500羽全ての殺処分を始めた。いずれも毒性の強いH5型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたという。

  

2016年はこれまでも、秋田県秋田市の大森山動物園で死んだコクチョウ2羽などから毒性が強い高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6型)が検出されているほか、岩手県盛岡市の池で死んでいたオオハクチョウからも、確定検査の結果、高病原性の鳥インフルエンザウイルスが確認されている。

   

鳥インフルエンザとはどのようなものなのか、また身を守るにはどのようなことをするべきなのか。感染症に詳しい西園寺克氏がAll Aboutの「鳥インフルエンザと鶏の安全性」「鳥インフルエンザの感染から身を守る方法」で次のように解説している。

 

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鳥インフルエンザとはいったい何?

厚生労働省によると、鳥インフルエンザの原因となるA型インフルエンザウイルスを一般的に、鳥インフルエンザウイルスと呼ぶという。鳥インフルエンザウイルスは、自然界においてカモ、アヒルなどの水鳥を中心とした多くの鳥類が腸内に保有している。なお、鳥インフルエンザウイルスがヒトやその他の動物に感染した場合も鳥インフルエンザという感染症名を使用している。

 

西園寺氏によれば、インフルエンザウイルスの起源をたどって行くと、もともとは鳥の病気なのだという。なかでも感染した鳥が死亡してしまうほど病原性が強く、別名「※家禽(かきん)ペスト」と呼ばれているのが「高病原性鳥インフルエンザウイルス」だという。

※かきん【家禽】:家畜として飼育される鳥。肉や卵を利用するためのものが多いが、愛玩用・観賞用もある。ニワトリ・アヒルなど。(三省堂提供「大辞林 第二版」より)

 

鳥インフルエンザは人に感染する?

ウイルスは何にでも感染するわけではなく、従来は鳥インフルエンザウイルスはヒトには感染できないとされてきたが、鳥インフルエンザのウイルスが変異し、以前より人に対する感染性が増していると西園寺氏は述べている。近年、東南アジアで見つかった変異ウイルスは、ヒトの細胞に親和性があるということが分かっており、トリが持っているウイルスが人の気道に入り、肺炎を引き起こすことが可能になっているという。

 

人から人への感染力は?

西園寺氏によると、本来鳥に感染するウイルスにとって、ヒトの細胞は居心地が良い場所ではないという。鳥の体温は42℃。一方、ヒトの体温は37℃程度。体温が低いヒト細胞の中では、鳥インフルエンザウイルスは増殖しにくくなる。

 

「免疫反応が起きると、ヒトは体温が上昇し発熱状態になります。通常のヒトに取り憑く多くのウイルスは、体温が上がると増殖しにくくなるのですが、鳥インフルエンザの場合は、この体温上昇が逆にウイルスの増殖を助けることになってしまうのが厄介です。

 

現在の変異ウイルスは鼻腔には受容体がほとんどないので、鼻水からは感染しないと考えられます。変異ウイルスが肺炎を起こした場合、ウイルスが入り込む肺に近い下気道は繊毛が少ないため、肺炎で咳をしてもウイルスの飛散が少なくてすみます。結果として幸いな事にヒトからヒトへは伝染し難いのです」

 

鳥インフルエンザ、感染を予防するには?

■ヒトインフルエンザワクチンの予防接種

鳥インフルエンザは、鳥の体温42℃の方が増殖が早いとされている。もしも、ヒトのインフルエンザに感染して体温が上昇してしまった場合、体内の鳥インフルエンザの増殖が早まるので、ヒトインフルエンザに対する対策をしっかり立てることが、結果的に鳥インフルエンザに対する対策になる。

 

■使い捨てマスク

現在想定されている鳥インフルエンザの変異株は、ヒトインフルエンザと同じで飛沫感染し、患者の咳に含まれるウイルスが感染源になると推定されている。飛沫感染の予防には、基本的な方法ではあるが、使い捨てマスクが有効。

 

■鳥インフルエンザウイルスは過熱すれば感染しない

鳥インフルエンザウイルスは気道感染で肺に取りつくので、口からの経口感染で消化管から体に入ることはない。それに鶏肉は通常加熱するので、調理してしまえば感染性がなくなり、同様に加熱した卵を食べても感染する心配はない。

 

■感染した鳥やヒトと濃厚に接触しないこと

厚生労働省によると、現時点では、鳥において高病原性を示す鳥インフルエンザウイルスが鳥からヒトに感染するのは、感染した鳥や、その死骸や内臓、排泄物等に濃厚に接触した場合に限られるという。また、鳥インフルエンザウイルスが人から人に感染するのはきわめて稀であり、感染の事例は、患者の介護等のため長時間にわたって患者と濃厚な接触のあった家族の範囲に限られるとしている。

 

国内で広がっている鳥インフルエンザの陽性反応に対し、不安を抱いている人も多いかもしれない。必要以上に恐れることはないが、正しい知識を身につけて感染予防に取り組みたい。

  

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