文化の日の3日、皇居・宮殿で文化勲章の親授式が行われた。
今年のノーベル生理学・医学賞に決まった東京工業大栄誉教授の大隅良典さん(71)をはじめ、画家・彫刻家の草間彌生(本名草間弥生)さん(87)、作家の平岩弓枝さん(84)、作曲家の船村徹(本名福田博郎)さん(84)、日本近世文学の中野三敏さん(80)、集団遺伝学の太田朋子(本名原田朋子)さん(83)の6人が天皇陛下から勲章を手渡された。
陛下は受章者とその夫や妻を前に、「長年努力を重ね、文化の向上に尽くされたことを誠に喜ばしく思います」と述べられたという。時事通信などが報じている。
毎年この時期に発表されるこの文化勲章とは、いったいどのような賞なのだろうか。All Aboutで専門家が次のように解説している。
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日本で最も新しい勲章、文化勲章とは?
社会ニュースに詳しい伊藤亮太氏によると、文化勲章は、我が国の文化の発達に関して顕著な功績のあった者に対して授与される勲章。日本で最も新しい勲章でもあり、1937年に当時の内閣総理大臣である廣田弘毅の発案により制定されたものだという。
文化勲章は、科学技術や芸術などを中心として、文化の発展に特に顕著な功績を残した者に授与される。その受章者は、文化審議会に置かれる文化功労者選考分科会に属する委員の意見を聴き、文部科学大臣から推薦された者について審査が行われ、閣議によって決定すると伊藤氏は説明する。毎年11月3日の文化の日に、宮中で親授式が行われ、天皇陛下から直接文化勲章を授与されることになる。
文化功労者との違いは?
一方、文化功労者は、文化の向上発達に特に功績が顕著な者に対して、文部科学大臣が文化功労者選考分科会にはかり、顕彰される人を選ぶ。文化功労者の制度は、1951年に創設されたもの。伊藤氏によれば、創設の理由としては、日本国憲法第14条の規定が背景にあるという。憲法では、勲章への特権付与が禁止されており、文化勲章受章者には金品等の副賞を渡すことができないため、別制度として、文化功労者制度を創設することで、文化の発展向上への貢献者に対して終身年金(現在年額350万円)が支給される仕組みをつくったというわけだ。
こうした仕組みが取られていることから、現在では、文化勲章受章者は、原則として前年までに文化功労者として顕彰を受けている者の中から選ばれるようになっている(中には同じ年に選出されるケースもあり)。なお、文化功労者に支給される終身年金は、非課税なので所得税がかからないうえ、本人が生存する限り支給されるという。
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