石井啓一国土交通省相は10月31日、2016年に日本を訪れた外国人旅行者が同月30日に累計で2000万人を超えたと発表した。2015年1年間の1973万人余りを早くも上回り、過去最高を更新。暦年(1~12月)での訪日客2000万人突破は初めてとなる。
一方、いわゆる“爆買い”は沈静化しているという報道もあり、外国人旅行者の消費額が伸び悩んでいることが指摘されているが、外国人は何を目的に来日するのだろうか。また、増え続けるインバウンドを迎え入れる日本側はどのようなことに注意すればよいのだろうか。訪日外国人旅行者(インバウンド)のトレンドに詳しいマイケル・カナート氏がAll Aboutで次のように解説している。
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日本に来た外国人が“日本に来たらやりたいこと”ベスト5
外国人旅行者が、日本に来る際、最も楽しみにしていることは何だろうか。カナート氏は、「2016年1-3月期 訪日外国人の消費動向P25 “訪日前に期待していたこと(全国籍対象・複数回答)” 観光庁調べ」をもとに紹介している。
■第5位は温泉入浴(35.5%)
温泉入浴に期待しているのは“外国人全員”ではなく、アジア圏とオーストラリア。ちなみに、温泉に関して欧米人が知りたい情報は、入浴時のTattooの扱いに関することだという。
■4位は「繁華街の街歩き(37.3%)」3位は「自然・景勝地観光(43.5%)」
CityとCountryside、それぞれに魅力があるし、そこに根付く文化に直接触れてみたいというPassion。アジア圏・オセアニアといった近隣国が上位を占めるが、たとえばロシア人は繁華街にはすごく関心があるが自然にはそれほど興味がないなど国によって興味関心はさまざまなのも興味深い。
■第2位はショッピング(53%)
ショッピングに期待しているのはアジアなど近隣国の人々。欧米のShoppingに対する期待度は、Japanese Cultureや自然・景勝地観光よりも低い。
■第1位は日本食を食べること(70%)
2013年末に「和食;日本人の伝統的な食文化」として、UNESCO無形文化遺産に登録されたことも後押ししてか、圧倒的な人気ぶり。国によって好みは多少異なるものの、寿司・ラーメン・肉料理・魚料理の人気がとくに高い。なかでも、ラーメンは世界的に人気という傾向がある。宗教観やアレルギーなどNG食材をヒアリングするなど接客への配慮、個別のオーダーが当たり前の欧米人へ個別対応するなどのサービスに加え、安心材料を提供するなどの意識も求められるとカナート氏は述べている。
「外国人=全員同じ」ではないという認識が必要
カナート氏が訪日外国人をもてなす上での心構えとして、1番伝えたいことは、「外国人=全員同じ」ではない、ということだという。根本にこの認識を持っているだけで、実際に接客するときの対応は変わってくるという。また、“国によって違うんだ”という前提で、国ごとの人・文化・価値観などに関心を寄せることが必要だという。
おもてなしの国JAPAN、だから店舗経営者は外国人を意識しては
お店を経営している人なら、2000万人を超える規模のインバウンドに対応するかしないか、もはや迷う余地はないかもしれないとカナート氏。ショップや飲食店、中小企業、自治体においては、いち早くきちんと対応することで、競合他社と差別化するための好材料にもなる。おもてなしの国JAPANとして、今のうちからWelcomeな姿勢を意識して、2020年の東京五輪Yearには世界中から集まるGuestを笑顔でおもてなしすべきだとカナート氏は述べている。
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