インフルエンザ流行の兆しが見られ始めている。
沖縄県健康長寿課は26日、県内全域に今季初めてのインフルエンザ流行注意報を発令。10 月17日~23日に、定点あたりの報告数が10.03人(定点医療機関58ヶ所、報告数582人)となったため。沖縄タイムスによると、発令は例年より2ヶ月ほど早いという。また、沖縄県の中部と南部保健所内の小中学校計6校で学級閉鎖があったという。
このほか、相模原市保健所でもインフルエンザの注意喚起発令を出したと、神奈川新聞が報じている。また、チューリップテレビも富山県内で学級閉鎖が見られるようになっていると報じ、早めの予防を呼び掛けている。
インフルエンザの流行が本格化する前から、予防を心掛けたいところ。自ら対策できることはあるのだろうか。これに関して、医学博士の清益功浩氏がAll Aboutで以下のように解説している。
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インフルエンザとは?
■症状
清益氏によると、インフルエンザは風邪と異なり、39℃以上の高熱が続き、咳、鼻水、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、嘔吐、下痢、腹痛が見られる感染症という。
■原因・感染経路
原因はインフルエンザウイルスで、非常に感染力が強く、1人で身の回りの3人に感染させてしまうと清益氏は説明する。インフルエンザウイルスの遺伝子の変化が多いために、以前の抗体だけでは対応できないため、一度罹ったから大丈夫ではなく、何度も罹ってしまうのだという。
インフルエンザウイルスはツバや痰などによって、主に人から人に感染するという。よって、感染経路を考えると、身近な対策が可能だと清益氏は指摘する。なお、冬場は乾燥するために、ツバや痰が小さくなりやすく、飛散する距離が長くなり、感染する範囲が広くなるという。
日常生活での予防方法
規則正しい生活、バランスのよい食事、十分な睡眠で免疫力を高めることは重要であるほか、感染経路を遮断する意味で、以下の点も意識することが大事だと清益氏は述べている。
- 手洗い(身の回りのものにウイルスが付着している可能性があるので、特に食事前の手洗いは大切。指と指の間もしっかりと石鹸で15秒かけて手を洗う)
- うがい(粘膜を潤すためと付着したウイルスを減らすことができる)
- マスク着用(ウイルス用マスクなら、口や鼻からの侵入を防ぎ、手で口や鼻を触るのを防いでくれる)
ワクチンによる予防方法
清益氏によると、インフルエンザにはワクチンで予防する方法があり、それには2種類あるという。
- 日本で現在使用できる不活化ワクチン(承認済み、任意で高齢者は助成あり)
- 将来的に使用できるかもしれない生ワクチン(未承認、個人輸入)
不活化ワクチンの注意点としては、子どもへの効果は悪く、皮下注射であること、流行するタイプとワクチンのタイプが異なると、効果が落ちる点があるという。特に1歳未満でのワクチンの効果は乏しいとされていると清益氏は説明する。
効果の期間は、1~2回で効果は約4ヶ月。また、ワクチンの効果が出てくるのに、2~4週間が必要という。毎年の流行時期は、インフルエンザAは12月下旬から2月上旬まで、インフルエンザBは2月~3月という。
生ワクチンは鼻から弱毒ウイルスを摂取する方法で、子どもでの効果が高く、痛みもないという。また、流行するタイプとワクチンが異なっていても、効果が落ちにくく、多くは1回での効果は約1年。ただし、50歳以上では効果が良くないという。
薬による予防方法
抗インフルエンザ薬による予防方法もあるという。抗インフルエンザ薬に対する耐性インフルエンザの発生の懸念や、100%の予防効果ではないことから、主に重症化すると考えられる方に勧められていると清益氏は説明する。
予防投与の対象としては、「インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者である下記の者」が対象者となる。
- 高齢者(65歳以上)
- 慢性呼吸器疾患(※リレンザは除く)、慢性心疾患患者
- 代謝性疾患患者(糖尿病等)
- 腎機能障害患者
抗インフルエンザ薬には、以下のような種類があると、清益氏は挙げている。
- オセルタミビル(タミフル):1日1回投与で10日間
- ザナミビル(リレンザ): 1日1回、1回2吸入で10日間
- ラニナミビル(イナビル):大人及び10歳以上の小児が対象で、イナビル20mg(1個)を1日1回、2日間吸入投与
現在は、この3種類が認められている予防薬だが、医療保険が使えないので、自費になってしまうという。
【参考書籍】
※マスクの正しい使い方、咳に効果のある食材などを紹介
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