関東信越厚生局麻薬取締部などは25日、元女優の高樹沙耶(本名・益戸育江)容疑者(53)=沖縄県石垣市=を大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕した。
逮捕容疑は、25日午前10時半ごろ、高樹容疑者は同居する男2人と共謀し、石垣市の自宅で乾燥大麻を所持した疑い。高樹容疑者は容疑を否認していると時事通信などは報じている。高樹容疑者は7月の参院選に新党改革の公認候補として出馬。医療用大麻の使用実現などを訴えていたが、落選している。
欧米などでは大麻の使用が合法とされている地域もあるが、日本では法律で使用を禁止されている。使用者に深刻な問題を引き起こす存在である大麻の影響について、精神病院に勤務する中嶋泰憲氏がAll Aboutで以下のように解説している。
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大麻とは
中嶋氏によると、大麻は中央アジア原生のアサ科に属する一年生の植物。大麻の煙を吸う事によって、多幸感、幻覚などの中枢神経作用が現れる事は数千年前から知られているという。
大麻の作用は、大麻に含まれているTHC(テトラ-ハイドロ-カノビノール)と呼ばれる物質によると中嶋氏は説明する。大麻は、煙として肺から体内に吸収されると、多幸感が数分以内に現れ、約30分でピークに達するという。多幸感の他に、体内に吸収されたTHCの量に応じて、以下のような症状が現れるという。
- 結膜の充血
- 心拍数増加
- 食欲の昂進
- 口の渇き
- 現実感が薄れる
- 魂が体から離れるような離人体験
- 記憶障害
- 協調運動能力の低下
- 反射神経が鈍くなる
また、THCは知覚にも影響を与え、周りの色彩がより鮮やかに見えたり、時間がゆっくり流れたりするようになるという。
大麻使用が引き起こす問題・影響は?
大麻のみならず、一般に、脳に作用する物質には依存性があると中嶋氏は指摘する。依存には、精神依存(物質の使用を中止すると強い不安が出現する)と、身体依存(使用中止後、不快な離脱症状が生じる)の2つがある。大麻使用による依存は精神依存が主で、身体依存では、耐性(以前と同じ効果を得る為に、以前より多くの量が必要になる)が生じるという。
依存の他に、大麻使用により出現する可能性のある精神医学的な問題には以下のようなものが挙げられると中嶋氏は述べている。
- 強い不安やパニック発作
- 不合理な恐怖
- そう状態
- 幻覚
- 妄想
- フラッシュバック(大麻使用時の感覚や知覚が大麻の非使用時に突然、意識に入ってくる現象)
- 意欲、興味の低下
- 統合失調症の発症
上記のほかに、大麻使用に関連する医学的な問題として、免疫機能の低下、煙に含まれる発ガン性物質による肺ガンのリスクなどがあり、大麻使用は覚せい剤など他の薬物の使用につながりやすい事も大きな問題だと中嶋氏は述べている。
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