タレントの矢部美穂さん(39)が18日、子宮筋腫の手術を25日に受けると、自身のブログで明らかにした。
矢部さんは4日のブログで、腹腔鏡手術を行うための治療を続けてきたが、「腹腔鏡だと小さい筋腫は取れないみたいで、一番大きい筋腫もまだ6センチあるので厳しい」として、全開腹手術へ変更したことを公表していた。
子宮筋腫とはどのような病気で、どのような場合に手術が必要なのだろうか。日本産婦人科学会専門医の清水なほみ氏がAll Aboutで以下のように解説している。
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子宮筋腫とは?
清水氏によると、子宮筋腫は子宮の筋肉の壁にできる良性の腫瘍(コブ)のことだという。悪性腫瘍である子宮がんとは別のもので、小さいものも含めると30歳以上の女性の3人に1人は発見される、子宮の病気の中では最もメジャーなものだと清水氏は述べる。
子宮筋腫の主な症状
筋腫ができる場所や大きさによって症状の出方は異なると清水氏は説明する。
■過多月経・過長月経
筋腫が子宮の内側に飛び出していたり、子宮を引き伸ばして変形させてしまうため、出血量が増える。ナプキンが1時間持たなかったり、貧血が進みすぎて輸血が必要になったりすることも。なお、月経量は人と比べることができないため、異常に気づきにくいという。
■下腹部のしこり
■頻尿・排尿異常・便秘(子宮筋腫がさらに大きくなると、圧迫による症状が出る)
■腎臓の腫れ
筋腫が大きくなり尿管が圧迫されると、腎臓が腫れてしまう「水腎症」になることもある。通常はこうした症状が出る前に治療を勧められることが多い。
清水氏によると、全く症状がなく、検診でたまたま筋腫が発見される人も少なくないという。超音波検査では、小さな筋腫も早期発見できるため、年に1回は超音波検査を受けるようにしてほしいと清水氏は述べる。
子宮筋腫の治療は必ずしも必要ではない
子宮筋腫が発見されたからといって、必ずしも治療が必要とは限らないと清水氏は説明する。症状が全くなく、大きさも10cm以下で妊娠も望んでいない場合、通常は半年~1年に1回超音波検査で大きさの変化を見るだけで済むという。
閉経まで定期検査を受けるだけという人も少なくないと清水氏は述べる。筋腫は女性ホルモンを餌にして大きくなるため、閉経後は徐々に縮んでいく。よって、閉経まで持ち越せれば、それ以降に治療が必要になることはめったにない。
薬物治療、手術療法…治療が必要になるケースは?
治療が必要になるのは、以下のケースだという。
- 過多月経や月経痛の症状がひどい場合
- 大きさが大きい。またはどんどん大きくなっている場合
- 大きさが大きく、圧迫による症状がひどい場合
- 妊娠を望んでいて筋腫が妊娠の妨げ、または流産や早産のリスクになる場合
1の場合、薬で出血量のコントロールができるか試し、有効であれば薬物療法だけで様子を見ることができると清水氏は述べる。薬物療法には、ピルで出血量を減らす方法と、薬で女性ホルモンの働きを抑えて月経を止める「偽閉経療法」という方法があるという。
手術での治療方法は?
2~4に当てはまる場合は、いずれも手術が必要という。手術の方法は以下の通り。
■子宮全摘術
子宮全摘術は開腹手術で子宮全体を摘出する手術。今後妊娠を望まないという方のみに行うが、筋腫が無数にあって子宮を残すのが難しいケースや、子宮全体を取ってほしいと本人が希望した場合は行うという。
■筋腫核出術
筋腫核出術は筋腫のコブだけをくりぬいて子宮は残す手術。主に今後妊娠を希望する患者や、子宮を残したいという患者が対象。筋腫が大きい場合や数が複数ある場合は開腹手術する必要がある。筋腫がそれほど大きくない場合は腹腔鏡補助下手術(お腹に小さな穴を開け、腹腔鏡で中を覗きながら筋腫を細かく砕き、小さな穴から取り出す)も可能。
■子宮鏡下筋腫核出術
子宮筋腫が子宮内に飛び出している「粘膜下筋腫」といわれるものだった場合、子宮鏡下筋腫核出術(開腹せず、細いカメラを膣から子宮内に入れ子宮内を覗きながら、カメラの先から出ている電気メスで筋腫のコブを削る方法)で治療するという。
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