推薦は「選ぶ」のではなく「決まっている」。私立中堅校が“指定校推薦”を独占する納得の理由

大学入試の6割が推薦・総合型選抜となった今、「どちらを選ぶか」と悩む時点で実は勝負はついています。合否を分かつのは華やかな活動実績ではなく、日々の「評定平均値」という逃れられない数字なのです。(画像出典:PIXTA)

「評定を盛る」は都市伝説? 難関校が守り抜く大学との信頼関係

SNSなどで、「評定平均値を盛って指定校推薦を取らせる高校がある」といった書き込みをしばしば見かけます。

しかし、難関大の指定校枠を豊富に持つ高校は、そのような不正は決して行いません。万が一、評定操作が大学側に露見すれば、積み上げてきた指定校枠が打ち切られるリスクがあるからです。

例えば、ある難関大学の学部から「評定4.3以上」という条件で指定校枠が来ていたとします。そこへ、評定4.2の生徒が1人だけ希望を出しました。あと「0.1」おまけすれば出願資格を満たせます。

高校側にすれば、その大学の合格実績は喉から手が出るほどほしいものです。しかし、たとえその生徒が真面目で、大学入学後にしっかりと勉強しそうだとしても、学校側は絶対に「おまけ」をしません。

この真摯(しんし)な姿勢こそが、大学からの信頼を勝ち取っているのです。大学側は「毎年生徒を送り込んでくれる高校」よりも、「評定を偽らない誠実な高校」を高く評価します。

このように、勉強が特別得意でなくても、日々のテストや課題に真面目に取り組み、高い評定を維持できれば道は開けます。

ただし、求められるのはあくまで「本物の評定」です。人気校では「オール5でも慶應やMARCHの指定校が取れない」という熾烈(しれつ)な争いになることも珍しくありません。難関大を指定校推薦で狙うなら、相応の覚悟が必要です。

関西圏に見る「一般選抜回帰」の動向

一方で、見逃せないのが関西圏の動向です。

関西には伝統的に、大学入試において高校の評定平均値をそれほど信用しない文化があります。その影響か、指定校推薦という仕組み自体がうまく機能しないケースも見受けられます。

象徴的なのが関西学院大学の事例です。2020年には入学者の6割が推薦入試経由でしたが、現在は一般選抜が6割と逆転しています。

それだけ関西では、評定平均値が合否を決める「信頼できる指標」になりづらいということでしょう。この傾向が今後どう推移していくのか、注視が必要です。

【関連記事】
【大学入試の現在地】指定校推薦を減らし一般選抜を拡大。関西学院大学に見る「学力重視」への揺り戻し

今回は指定校推薦の実態について解説しました。次回は、総合型選抜が指定校推薦とどう違うのかを深掘りします。どちらも「評定平均値が重要」という点では共通していますが、その本質的な違いはどこにあるのでしょうか。

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「総合型選抜は逆転のチャンス」は滅多にない。難関大が「探究学習」より「評定」を求める理由
大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法
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この記事の執筆者:杉浦 由美子 プロフィール
キャリア20年の記者。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)、『女子校力』(PHP新書)、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)など単著は14冊。『ダイヤモンド教育ラボ』、『ハナソネ』(毎日新聞社)『マネーポストWEB』(小学館)などで取材記事を寄稿している。趣味は取材。
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