大学入学者の6割が推薦・総合型選抜を利用する時代ですから、時宜にかなった企画だと思ったのでしょう。しかし筆者は、「実は、その二択で悩む生徒はほとんどいない」と説明しました。
選抜方式は「選ぶ」ものではなく「決まる」もの
「推薦・総合型選抜か、一般選抜か」という選択肢で悩む生徒は、実はほとんどいません。どちらを選ぶかは、自動的に決まってしまうからです。理由は明快で、評定平均値が高くなければ、そもそも推薦・総合型選抜という選択肢自体が持てないからです。
実際、筆者が『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)を書くために、総合型選抜の合格者たちに取材した際も、「どうして総合型選抜を受けたのですか?」と質問すると、「評定平均値が高かったので」「評定平均値が4.2あったので」という答えが返ってきました。
つまり、推薦・総合型選抜ルートに乗れるかどうかは、活動実績以前に「評定」で決まっているのです。
総合型選抜では「評定平均値3.5以上」といった出願資格が設けられるケースは多いですし、要件がない場合でも、評定が高い方が合格しやすいのが現実です。
世間では「指定校推薦」と「総合型選抜」は別のものと捉える向きも多いですが、実態は共通点も多々あります。
では、両者の決定的な違いはどこにあるのか。まずは「指定校推薦」の仕組みからひもといていきましょう。
拡大したのは「総合型選抜」ではなく「指定校推薦」
数年前、ある業者がこんなセールストークを繰り広げていました。「これからは総合型選抜が大学受験の主流になります。勉強が苦手な子でも、一般選抜とは違うルートで大学へ行くチャンスが拡大するのです」
探究学習をビジネスにする彼らにとっては都合のよい理屈でしたが、事実は違いました。
実際に拡大したのは、指定校推薦や系列校からの内部推薦だったのです。事実、2025年の実績を見ても、総合型選抜は全体の約19%ほどでしかありません。
昨今、高校無償化の影響もあり、中堅層を中心に私立高校への進学が人気で、公立高校の志願者が減っています。私立高校は授業料以外にも費用がかかりますから、公立高校よりも経済的な負担は大きくなります。
それでも私立高校を選ぶ生徒が多いのは、私立高校の方が指定校推薦が豊富に来るからです。
なぜ、私立高校に指定校枠が集まるのでしょうか。
その鍵は、教員の異動が基本的にない私立特有の体制にあります。私立高校の先生方は長期的スパンで自校の合格実績を高めようという意志が強く、大学との信頼関係をとても大切にします
そのため、校内選考では評定平均値だけでなく、人格や勤勉性も考慮し、「自信を持って大学に推薦できる生徒」を選んでいきます。
大学が求めるのは入学後に真面目に勉強し、よい成績をとって、しっかりと就職して社会で活躍する人材です。中堅の私立高校はそうした生徒を育てて、指定校推薦で大学へと送り出しているのです。



