日本は14秒に1回、攻撃されている。高市首相が“深夜の執筆”で明かした「見えない戦争」の最前線

「14秒に1回」日本を襲うサイバー攻撃の衝撃。高市早苗首相が大臣時代、深夜の執筆で綴った書籍『日本の経済安全保障』より一部抜粋し、JAXAやトヨタ、病院を狙う「見えない戦争」の実態を紹介する。(画像出典:首相官邸ホームページ)

「日本は約14秒に1回、サイバー攻撃を受けている」
高市首相「日本は約14秒に1回、サイバー攻撃を受けている」(画像出典:首相官邸ホームページ
「約14秒に1回」。これは2024年時点で、日本国内の機器が受けていたサイバー攻撃の頻度です。なぜこれほどまでに攻撃が急増しているのか。そして、その背後にはどのような国家や組織が関与しているのか。

今回は、当時経済安全保障担当大臣として政策の第一人者だった高市首相が、膨大な資料を読み解き、自らの手で書き下ろした一冊『日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律』(飛鳥新社)より一部抜粋。

総理就任前の「覚悟」が詰まった、私たちの生活を脅かすサイバー攻撃の生々しい実態を紹介します。

約14秒に1回、サイバー攻撃を受けている

世界的に、サイバーセキュリティの強化は、経済安全保障の重要な課題になっている。

私達が受けているサイバー攻撃数をイメージしていただくために、NICT(National Institute of information and Communications Technology:国立研究開発法人 情報通信研究機構)のNICTER(サイバー攻撃観測・分析・対策システム)が観測した最新のデータを紹介する。

NICTのダークネット観測網は、約9割が日本国内のIPアドレス、約1割が海外のIPアドレスで観測している。

その1つのIPアドレス(IPアドレスが付与されているルーターやWEBカメラなどIoT機器等)当たりのサイバー攻撃関連通信のパケット受信数を、5年ごとに比較してみた。

2013年は、1つのIPアドレス当たり1年間で約6.4万パケット、1日で約175パケット、約8.3分に1回の攻撃だった。

2018年は、1つのIPアドレス当たり1年間で約80.7万パケット、1日で約2211パケット、約39秒に1回の攻撃だった。

2023年は、1つのIPアドレス当たり1年間で約226万パケット、1日で約6192パケット、約14秒に1回の攻撃を受けている。

ということは、2018年は2013年の約13倍に増えており、2023年は2018年の約2.8倍に増えていることになる。

この観測では、無差別型サイバー攻撃の大局的な傾向を把握することが可能だが、外国Aから日本への攻撃も、外国Aから外国Bへの攻撃も含まれている。

日本が受けているサイバー攻撃数の推移を見るために有効なのは、NICTが観測しているDRDoS(Distributed Reflection Denial of Service)攻撃のデータだと思う。

DRDoS攻撃は主要なサイバー攻撃の1つ。インターネット上のDNSやNTP等のサーバを通信の増幅器として悪用し、攻撃対象に大量のパケットを送付するDRDoS攻撃の一種で、特定サイトなどに対する主要な攻撃手段だ。

NICTでは、DRDoS攻撃を観測するハニーポット(不正アクセスで攻撃されることを前提として設置されるわなのようなネットワークシステム)であるAmpPoTというツールを9台使って観測している。

2023年の1年間、累計で約5561万件、1日平均で約15万件の攻撃を観測した。そのうち日本宛の攻撃(海外→日本、ならびに日本→日本の攻撃数を合計)は、1年間で約896万件、1日平均で約2.4万件だった。

また2020年の1年間の累計は約3120万件、1日平均で約8.5万件の攻撃を観測した。そのうち日本宛の攻撃は、1年間で約24万件、1日平均で約666件だった。つまり、3年間で日本宛の攻撃が急増していることが分かる。

また、NISC(National Center of Incident Readiness and Strategy for Cybersecurity:内閣サイバーセキュリティセンター)によると、2023年度の速報値だが、「重要インフラへのサイバー攻撃インシデント」が123件あったということだ。

ただし、これは重要インフラ事業者から政府に報告があった件数だ。攻撃を受けたこと自体に気づいていないケースや風評被害をおそれて報告をしないケースもあるだろうと考えれば、実際にはもっと多かったのかもしれない。

背景に中国人民解放軍

近年、国内で被害が発生したサイバー攻撃の一部を紹介する。

2021年4月にJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)をはじめとする国内企業等へのサイバー攻撃を実行した集団の背景に、中国人民解放軍が関与している可能性が高いということを、同年9月9日に警察庁が公表した。

2022年3月には、トヨタの国内仕入れ先である小島プレス工業株式会社において、不正アクセスに伴うシステム障害が発生。この影響によってトヨタは、国内の全14工場のうち28ラインの稼働を停止した。

医療分野では、2021年10月、徳島県つるぎ町立半田病院がランサムウェア(身代金要求型ウイルス)を用いたサイバー攻撃を受け、約8万5000人分の電子カルテのデータが暗号化された。結果、救急や新規患者の受入れを中止するなどの被害が発生。

2022年6月には、徳島県鳴門市の鳴門山上病院の電子カルテと院内LANシステムが使用できなくなった。

この2件の攻撃者については明らかになっており、2024年2月20日に、ユーロポール(欧州警察機構)と日米英仏豪などの警察機関の共同捜査によって、国際サイバー犯罪集団「ロックビット」の主要メンバーが逮捕されたことが発表されている。

【この記事の続き】
なぜ日本はサイバー攻撃を「撃退」できないのか? 高市総理が解き明かす、法制度の“致命的な穴”

※本記事は、2024年9月刊行の『日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律』(高市早苗著、飛鳥新社)に基づく内容です。
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