天皇か、一般国民か。愛子さまが20年間さまよう「二つの未来」、政治の怠慢が生んだ残酷

側室なき時代に「男系男子」に限る無理なルール。それが愛子さまを「即位」か「民間人」かという不確定な未来に縛り付けている。政治の怠慢が生む残酷な現状と、天皇陛下が娘に贈った言葉の真意とは。(写真:AP/アフロ)

写真:AP/アフロ
愛子さま(写真:AP/アフロ)
天皇に即位される可能性もあれば、ご結婚と同時に一般国民になる可能性もある——。真っ二つに引き裂かれた未来の中で、愛子さまは20年以上を過ごしてこられました。

側室制度がなくなった現代に「男系男子」限定という明治時代のルールが残り続ける矛盾。皇室典範改正の責任を負う国会と政府は、何もしないまま時間だけが過ぎていきます。

天皇陛下が皇太子時代に語られた「どのような立場に将来なるにせよ」という言葉に込められた思いとは? 皇室研究者・高森明勅氏の著書『愛子さま 女性天皇への道』(講談社)より紹介します。

不自然で無理なルール

今の皇位継承ルールでは、敬宮殿下は皇位継承資格を認められていません。しかし一方で、早くから皇位継承ルールの欠陥は気づかれています。

社会全体の流れとして、一夫一婦制のもとで、結婚年齢が高まり、少子化が進んでいます。皇室だけがその例外であり続けることは不可能でしょう。現に、そうした傾向は皇室にも見られています。

にもかかわらず皇室は古いルールのままです。

正妻以外の女性=側室から生まれたお子さまやその系統(非嫡出子、非嫡系子孫)にも皇位継承資格を認めることを前提として、明治22年(1889年)の旧皇室典範で“初めて”採用されたのが、「男系の男子」だけに皇位継承資格を認めるという窮屈なルールです。

それが、側室制度がとっくに過去のものとなり、非嫡出子、非嫡系子孫には皇位継承資格を認めなくなった現在の皇室典範でも、うっかりそのまま維持されています。

過去の天皇の実例を振り返ると、約半数は側室のお子さまでした。正妻にあたる女性がついに男子に恵まれなかったケースは、当たり前ながら多くありました。

前近代では側室制度があって、しかも「女性天皇」の可能性も排除されていませんでした。10代、8人の女性天皇がいらっしゃったのです(そのうちのおふたりは退位後に再び即位)。

側室が不在なのに「男系男子」限定なんて、歴史上かつて例を見ない窮屈このうえない、不自然で無理な欠陥ルールです。それをそのまま放置するなんて、“うっかり”しすぎです。

引き裂かれている未来

ですから、いずれ是正され、必ず「女性天皇」を認める必要があります。そこが是正されれば、皇位の継承は「直系」優先が原則なので、次の天皇は“直系の長子”でいらっしゃる敬宮殿下ということになります。

しかし、それがいつまでも是正されず、これまでのルールが維持されてしまえば、敬宮殿下はご結婚とともに皇族の身分を離れられることになります。ご結婚相手は国民でしょうから、そのまま国民の仲間入りをされることになります。そうすると、その瞬間から国民としての生活がスタートします。

政治が本来の役割を果たして、欠陥をかかえた皇位継承ルールがきちんと是正されるか。それとも、政治の無為、怠慢のせいでそのまま放置されるか。それがどちらであるかによって、天皇に即位される可能性もあれば、一般国民として生活される可能性もある。

そのような、まったくかけ離れた“ふたつの未来像”に引き裂かれた状態のまま、敬宮殿下はこれまでの20年以上の歳月を生きてこられています。少し冷静に考えてみると、なんと残酷な仕打ちでしょうか。

皇室の方々は、憲法によって政治に関与することが禁止されています(第4条)。ところが皇位継承ルールを定めた皇室典範の改正は、「国会の議決」(第2条)によらなければなりません。政治上の案件ということです。

だから、皇室の方々は皇位継承の当事者なのに、直接、口出しができないことになっているのです。

つまり敬宮殿下にとっては、自分の将来が真っ二つに分断されながら、ご自身の努力でその“宙ぶらりん”な状態を終わらせることができない、ということです。

ずいぶん理不尽な話ではありませんか。
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即位か、民間人か。父・天皇陛下だけが見据えていた「ふたつの未来」
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