中学受験と高校受験を比較した場合、費用面ではやはり高校受験の方が負担は少なくなります。では、親の学習フォローや本人の学習の大変さではどう違うのでしょうか。
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「親の負担」を減らすカギは“塾とテキスト”の相性
「中学受験をやめて高校受験に切り替えようかな」と思う理由は、中学受験で保護者が子どもの勉強のフォローをするのが大変だからです。小学生なのでそうそう1人で全てができません。その点、高校受験は子どもは中学生なので自立して学習ができます。
ただ、中学受験で「親のフォローが大変」なのは難関対策の塾です。ある保護者は「面倒見がいいから早稲田アカデミーに入れたのに、横につかないと宿題がこなせない」と頭を抱えていました。
仕事が忙しく、なかなか子どもの勉強の世話もできないので、地元の個人経営の個別指導にも通わせ、宿題のフォローをしてもらおうとしたら、塾から「基礎の抜け落ちがあるからそこをやり直す方を優先した方がいい」とアドバイスされたそうです。
そこで、栄光ゼミナールが使用するテキスト、新演習で勉強をし直すと、成績はぐんと上がったそうです。
これをきっかけに「新演習なら1人で宿題ができるのでは」と判断し、栄光ゼミナールに転塾させると、1人で勉強ができるようになって、第一志望の淑徳与野中学校に合格しました(通学の利便性でほかの学校に進学したそうですが)。
早稲田アカデミーは面倒見はいいですが、テキストの予習シリーズは難関校向けなので、1人で学習できないケースもあります。
ですから、自分に合ったテキストの塾で勉強をすれば、それほど保護者の負担にならないこともあるのです。
中学受験は算数、高校受験は英語がカギ
科目はどうでしょうか。中学受験を取材していると、「中学受験で偏差値55があれば、高校受験で早慶に受かりますよ」という意見をしばしば聞きます。
ただ、高校受験の講師たちはそれに賛同しません。
「高校受験は英語が入ってきます。中学受験は算数重視なので、地頭のよさでクリアできる部分が大きいです。一方で英語はコツコツ努力しないといけないから努力家が有利になってきます。だから、求められる能力が全く違ってきます」
中学受験は算数がメインです。なぜなら、算数、国語、社会、理科の中では、算数が一番差が出るからです。
受験者の点数の分布図を見ると、算数はゼロ点と満点がありますが、国語はゼロ点も満点もありません。国語は漢字をしっかりやればある程度点数がとれますが、一方で記述問題で満点をとるのは大人でもほぼ不可能だからです。
一方、高校受験の場合、男子は数学が得意、女子は国語が得意な傾向があるため、「英語で差がつく」といわれます。数学や国語の学力は本人の適性に左右される部分もありますが、英語はいかに努力するかなので、差が付きやすいわけです。
また、高校受験と中学受験の一番の違いは内申点の有無です。
高校受験の王道パターンは、第一志望が公立高校、併願で私立の推薦を受験します。
つまり、早めに私立高校の「合格しても入学辞退できる」併願の推薦入試で合格を決めておいて、一般選抜で公立を受験します。
内申点でどの公立を受験できるか決まりますし、併願の私立推薦受験は内申点を重視することが多いです。そうなると、とにかく内申点が高いことが重要になってきます。
神奈川の場合、慶應義塾高校と日本女子大学付属高校以外の私立高校受験は内申点が必要になります。そのため、内申点をとる自信がない場合、中学受験で中高一貫校に通うのは戦略としてありです。



