習近平はアメリカに怯えている?
習近平という人はいい意味でマイナス思考、言い換えると臆病なのだと、私は感じています。国内向けには強気の発言はするものの、やっぱりアメリカが怖い。アメリカという国は、自分たちに不利益をもたらしたり、非人道だと弾じた政権に対しては、その多くを力で排除してきました。
イラク共和国のサダム・フセイン、リビアのカダフィ大佐(ムアンマル・アル=カッザーフィー)……。そして、サウジアラビア出身のウサーマ・ビン・ラーディンも。
ロッキード事件で、1976年に田中角栄が逮捕されたのも、その裏でアメリカの意思が働いたという説があります。陰謀説という人もいますが……。
中国では、北京の天安門事件や、2014年に香港で起きた数万人の学生や市民が抗議した反政府デモ「雨傘運動」についても、アメリカが仕組んだという説が根強く語られています。
習近平は、油断すると自分もアメリカに排除されると、警戒しているのです。
もしアメリカと戦争になったら、中国に勝ち目はありません。戦力差が大きいからです。そのあたり、地頭のいい習近平はきちんと計算できているはずです。 この書籍の執筆者:武田一顕 プロフィール
1966年生まれ。東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。元TBS報道局記者。国会担当記者時代の“国会王子”という異名で知られる。また、『サンデージャポン』の政治コーナーにも長く出演し親しまれた。2023年6月退社後、フリーランスのジャーナリストに転身して活動中。大学在学中には香港中文大学に留学経験があり、TBS在職中も特派員として3年半北京に赴任していた経験を持つ。その後も年に数回は中国に渡り取材を行っている「中国通」でもある。著書に『日本人が知っておくべき中国のこと』(辰巳出版)など。



