名門女子校の感覚は昔のまま? 女性教師に嫌われると「ママまで追い詰められる」理不尽な実態

男子校とは対照的に苦戦する女子校。その背景には「厳しすぎる校則」がある。「茶色いゴム」での呼び出しや「タピオカ」での密告など、アップデートされない伝統校の実態と、女子校離れが進む理由に迫る。(画像出典:PIXTA)

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コロナ禍以降、中学受験では男子校の人気が復活する一方で、女子校は苦戦を強いられています。

その背景には、理系教育の遅れなどカリキュラム面の課題もありますが、実は「勉強以外の部分」でも敬遠される大きな要素があります。それは「校則の厳しさ」です。

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象徴的なのが偏差値の変化です。横浜雙葉や横浜共立はこの10年で約10ポイント下落し、杉並区の光塩女子学院も苦戦しています。これらの学校に共通するのは、伝統的に「校則が非常に厳しい」という点です。

一方で、女子学院や吉祥女子のように、比較的自由な校風の学校は高い人気を維持しています。

厳格な指導は伝統校のよさでもありましたが、今はそれが「窮屈さ」として敬遠される要因にもなっています。保護者のリアルなエピソードを通して、その実態を見ていきましょう。

文化祭で生徒はドリンクを買ってはいけない

ある女子生徒はいくつかの学校を受験して、合格した中で自宅から通いやすい学校を選びました。 名門校であり、お母さまも誇らしげでした。

ところが入学して何年か経つと、こうため息をつきました。

「娘の学校の文化祭に行ったら、娘が物販のコーナーを指さして『ママ、ドリンクを買ってきて。麦茶ね』と言うんですよ。『なんで自分で買わないの』と言うと、『在校生はドリンク買うの禁止なの』って。9月でまだ暑いのにですよ。熱中症や脱水で生徒が倒れたらどうするのかと心配になりました」

9月が今ほど暑くなかった頃にできた「在校生はドリンクを文化祭で買ってはいけない」ルールなのでしょう。その古いルールが改正されないのが、いかにも「伝統校」といった感じです。

この学校をはじめ、多くの女子校ではスカート丈の規定が厳しく、そのこだわりにはすさまじいものがあります。ある名門女子校では、「スカートの丈を直さない」という理由で生徒を退学処分にした例もありました。一時期、その学校は、学年のうち1割の退学者を出していたといいます。

こうした校則の厳しさや処罰の重さは、当然ながら塾に伝わります。塾としても、手塩にかけて合格させた生徒が、些細な校則違反で退学になってしまってはたまったものではありません。

そのため、次第にその学校を受験生に勧めなくなるのです。その結果、志願者が減り、偏差値の下落を招くことになりました。

茶色いゴムで登校したらママが先生に叱られる

今は社会全体でルールの緩和が進んでいます。かつて働く女性の通勤スタイルはパンプスにショルダーバッグが主流でしたが、今はスニーカーにリュックを持つ方も増えました。そのほうが身体への負担が少なく、合理的だからです。

こうした時代背景もあり、校則が厳しすぎる学校は敬遠され、反対に自由な校風の学校が好まれる傾向にあります。

学校側もそれが分かっているので、多くの女子校が説明会などで「うちはそこまで校則は厳しくないんですよ」とアピールします。しかし実際には、「髪が肩についたら縛る」「ゴムは黒か紺のみ」といった、細かいルールが依然として残っています。

ある名門女子校の生徒はこう言います。

「間違えて茶色いゴムで髪を縛っていたら、先生にすごく怒られました。気を付けようと思ったんですが、朝はバタバタしているから間違えてまた茶色いゴムで学校に行っちゃったんですよ。そうしたら今度は親に電話されて、親が説教されたんです」

この生徒の場合、その後、「茶色いゴムは全部捨てる」ということをして、洗面所のゴムを黒と紺だけに入れ替えることで、なんとか事なきを得ました。

ところが、そううまくはいかない生徒もいるのです。
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まだある「理不尽な指導」…寄り道も禁止?
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