前回に引き続き、「評価される志望理由書」について、『7日間で合格する総合型選抜学校推薦型選抜 志望理由書 面接』(学研プラス)の著者で、総合型選抜専門塾AOIの福井悠紀さんの話を交えながら言及していきましょう。
「よい志望理由書」に共通する特徴
「志望理由のエビデンスとして、活用できるものに、活動実績があります」(福井さん)拙著『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社・杉浦由美子)では、岡山大学の農学部に推薦入試で合格した学生の志望理由書を掲載しています。
この学生は家族との会話の中で「野菜の食料自給率を上げるための研究をしたいから農学部に入りたい」という志望理由を見つけました。
しかし、それだけでは志望理由としては弱いです。説得力を与えるためにはエビデンスが必要です。この学生は夏休みに農業アルバイトをし、小規模農家と大規模農業で農業を体験し、そこで課題を見つけ、その改良を研究したいと志望理由書に書きました。
このように「よい志望理由書」を書く学生には、共通した特徴があります。それは、自分の経験と志望する学部・学科のテーマがしっかりつながっていることです。
後付けの活動実績でもうまくいった例
「高校3年間を通じて完璧に活動を計画できる生徒は少ないものです」(福井さん)すでに経験した活動と志望理由を後から結びつけるパターンと、志望理由があってからそれに関連する活動を今から始めるパターンの2種類があります。
どちらの場合も大切なのは「経験をどう解釈し、学びとつなげるか」という点です。
先に紹介した岡山大学農学部の学生は、農業のアルバイト経験と「食料自給率を高めたい」という志望理由がちゃんと結びついています。
また、地域の子ども食堂でボランティアをしている生徒が福祉系学部を目指す例では、その経験を「社会課題の理解と、どうしたら解決できるか」を言語化できれば大きな強みになります。
さらに、志望理由から逆算して現在から活動計画を立てる生徒には、まず社会問題の構造や解決策をざっくり調べ、自分で仮説を立てることを勧めています。そのうえで、関連する地域活動やボランティアに参加し、そこで得た発見や気付きを具体的にまとめることで志望理由と活動が自然に結びつきます。
福井さんの『7日間で合格する総合型選抜学校推薦型選抜 志望理由書 面接』の中で紹介されている志望理由書では、ファッション好きの学生がアフリカ・コンゴのサプールというファッション文化に注目し、経済・文化・美術の視点から多面的に研究テーマを探究したケースがあります。
サプールはフランス文化の影響を強く受けています。アフリカのコンゴにそんなおしゃれな人たちが存在するのは筆者には新鮮な情報でした。こういった文化に日本の高校生が興味を持って研究したいというのは面白いです。



