それでもせっかく万博へ行くならば、なんとか楽しみたいところ。開幕以来、20回訪問した筆者が、閉幕直前の万博で少しでも楽しむ方法をアドバイスする。
万博の象徴「大屋根リング」を歩いて眺める
予約なしで並べば入ることができるパビリオンも多いが、現在はどこも長い列ができて「数時間待ち」も少なくない。
とはいえ万博の醍醐味(だいごみ)は、パビリオンだけではない。例えば、今回の万博を象徴する「大屋根リング」は、ぜひ上ってほしい。全周約2kmのリングは、歩いて1周することができる。夜の花火やドローンショーの開催時は混雑しているが、それ以外なら普通に散策でき、上から眺める万博の景色は格別。昼と夜で光景が異なるのも面白い。
パビリオン「建築」は世界的アーティストの設計も!
筆者のおすすめは、「アゼルバイジャン」「サウジアラビア」「イタリア」「シンガポール」「トルクメニスタン」など。地上から見たパビリオンと、大屋根リングの上から見たパビリオンを比べてみても面白いだろう。夜のライトアップも美しい。
休憩場所に! 西エリアの「フューチャーライフゾーン」
そんな中でも、西ゲートのさらに西にある「フューチャーライフゾーン」は比較的空いている。海沿いにある「団体休憩所 西」には座れるベンチやテーブルがたくさんあり、そのすぐ横にあるEXPOアリーナ「Matsuri」はイベント開催時以外は芝生が一般開放されている。トイレや自動販売機、フードコートなども、他のエリアより空いていて快適だ。しかも、「団体休憩所 西」からは明石海峡大橋や淡路島も見えて、夕日も美しい。
「フューチャーライフゾーン」は東ゲートから歩くと30分以上かかるが、歩くのがおっくうなら、会場内を走るEVバス「e Mover」(1回400円、1日乗り放題1000円)で移動することもできる。会場内では貴重な“空いているエリア”だけに、ぜひ覚えておきたい。
万博内での飲食は高い! 「おにぎり」「お菓子」持参で
おにぎりやパン、お菓子、飲み物などは入場前に買っておいて、非常食として会場内に持ち込むのをおすすめする。カバンの中にあると思えば精神的にも楽になる。なお、会場内に「ビン・カン」の持ち込みはできないので注意したい。
退場NGタイムも? 「時差退場」のすすめ
東ゲートから退場する場合
「東ゲート」から退場する場合、最寄りの地下鉄「夢洲(ゆめしま)駅」は目の前にあるため18時ごろまでならゲートを出てすぐ駅の構内に入ることができる。それ以降の時間帯では、ゲートを出て大きく迂回(うかい)するルートを延々と歩くことになる。迂回ルートの所要時間は早くて15分、21時を過ぎると1時間ほどかかることも。駅が目の前に見えるからこそストレスを感じるが、多くの人が一斉に駅構内に入り、滞留するのを防ぐためだという。地下鉄は2~3分ごとのペースで走り、始発駅でもあるため、数本待てば座ることもできる。
西ゲートから退場する場合
一方、「西ゲート」の場合、夜はバスの乗車予約が必須となる。予約が取れなかった場合は西ゲートからの退場は諦め、東ゲートを利用すること。タクシーを呼び、待って乗ることもできるが、これも夜20時ごろから混雑する。少しでも混雑を回避したい場合は、夜の花火やドローンショーを諦めて、その前やその途中でゲートを通過して帰路につく手もある。時々ではあるが地下鉄がトラブルで止まることもあるので、それを見越して早めに動くのが賢明だ。
万博が残念な思い出にならないために……
行列に何時間並んででもパビリオンに入りたい場合、列の進み具合が早いパビリオンと、遅いパビリオンがあることを事前に知っておくのがいい。実は意外と早く入場できる「穴場パビリオン」も多くある。 4、5月は総来場者数が10万人以下の日もあったが、現在は20万人を超える日も多い。日中は会場内がどこも混雑しているため、人混みに疲れ切って地べたに座り込む姿も多く目に付く。今回の記事をぜひ参考にし、事前にしっかり調べて準備したうえ、万博を少しでも楽しんで帰ってもらいたい。
この記事の執筆者:
シカマ アキ
飛行機の旅 ガイド
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに、取材、執筆、撮影など。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も。
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