日本代表には夏の甲子園で優勝した沖縄尚学の左腕、末吉良丞投手や快速球右腕としてプロから注目される健大高崎の石垣元気投手らが名を連ね、2大会連続2度目の優勝を目指しています。
パリ五輪での競技除外で危機感
野球とソフトボールの国際統括団体「世界野球ソフトボール連盟(WBSC)」が、23歳以下(U23)や18歳以下(U18)における野球の国際大会を7回制で実施すると決めたのは、2019年のことでした。その結果、W杯はU23が2020年から、U18はコロナ禍後の2022年から7回制へと移行しました。導入の背景には、2024年パリ五輪で正式競技から野球・ソフトボールが除外されたことへの危機感がありました。WBSCは野球の「時短」を目標に掲げ、ソフトボールと同じ7回制を打ち出したのです。多数の競技が行われる五輪では、日程消化やテレビ中継の都合で、試合時間が短いコンパクトな運営が要求されるからです。
当時、WBSCのリカルド・フラッカリ会長は「東京五輪までは9回制だが、その後は7回制を導入する。イニング間の攻守交代時間も90秒に制限し、よりダイナミックに、よりスピーディーになる」と改革案を挙げました。その後、2028年のロサンゼルス五輪で野球・ソフトボールの復帰が決まり、7回制の採用可否が検討されています。
スポーツの「時短」は世界的な傾向
WBSCは公式Webサイトで「2イニング短縮されると、投手層の厚みは勝敗を左右する大きな要因にならなくなる。これは特にヨーロッパやアフリカなどの野球新興国にとっては高いハードルだった」と記し、7回制によって競技の普及が国際的に進むこともメリットに挙げています。 大会運営に関しても「天候による遅延や中止などにも影響されにくく、チームや選手も体への負担が減り、ゆっくり休める。まだ7回制は始まったばかりだが、国際野球に大きな変革を与える素晴らしいスタートを切ったと言えるだろう。この流れはやがて世界中のリーグにも広がるかもしれない」と強調しています。「時短」は、野球の本家本元であるメジャーリーグでも重視され、投球間隔を秒数で制限する「ピッチクロック」が2年前から取り入れられました。
ほかのスポーツでも同様の傾向が見られ、スペインではサッカーの試合を前後半各20分に短縮して行う7人制の「キングス・リーグ」が2022年に設立され、国際的に注目を集めています。
バレーボールではサーブ権に関係なく得点が入るラリーポイント制がすでに定着するなど、各競技で取り組みが進んでいるのです。



