転職して年収を100万円上げたいけど、営業はやりたくない……転職のプロの見解は

女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。今回は「営業職」について。

営業はできればやりたくないのですが……。
営業はできればやりたくないのですが……。
女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。今回は「営業職」について。
 

(質問)
年収を100万円上げられる仕事を探していますが、営業ばかりおすすめされます。営業はできればやりたくないのですが……。

 

(回答)
営業は「テレアポや新規飛び込みばかり」という思い込みはもったいないかもしれません。お客さまとの関係構築を行う仕事や、来店されたお客さまにご提案する仕事も、営業として募集していることが多いです。営業をひとくくりにして、転職先の選択肢から外すのではなく、仕事内容を理解するところから始めてみましょう。


詳しくは以下で解説します。

「営業はなんか無理……」よく分からずに、そう思っていませんか?

深く考えずに今の仕事に就いたけれど、「全然給料が上がらないな」「このままだと将来のお金が心配……」と感じたことのある人もいるかと思います。年収アップを目的に転職活動をする場合、営業職のスカウトが届いたり、エージェントから営業を勧められたりすることは多いでしょう。詳細を見る前に「自分には向いていない」と諦めていないでしょうか。

「女の転職type」が行った営業職に関する調査でも、「『営業になってみたい』という興味はある?」という質問に対して、「どちらかというとない」「まったくない」と回答した人は合計で72%ほどで、営業職に興味がある人はかなり少ないことが分かっています。
『営業になってみたい』という興味はある?
『営業になってみたい』という興味はある? (画像出典:『女の転職type』データで知る女性と仕事)
また、「営業という職業にどのようなイメージがある?」という質問についても、「ノルマがきつそう」70.1%、「精神的に辛そう」59.3%、「忙しい、残業が多い」51.8%で、ネガティブなイメージを持っている人がかなり多い結果でした。

反対に「楽しそう」2.7%、「長く働き続けられる」2.7%、「女性が有利」1.2%と、ポジティブなイメージを持っている人はかなり少ないことも分かっています。
営業という職業にどのようなイメージがある?
営業という職業にどのようなイメージがある? (画像出典:『女の転職type』データで知る女性と仕事)

テレアポや飛び込み営業をしない営業も多数あります

しかし、「営業」と聞いただけですぐに「大変そう」「自分にはできない」と決めつけるのは少しもったいないことかもしれません。仕事の多様化に伴い、営業職にもさまざまなスタイルが増えています。例えば、以下のような仕事も「営業」として募集されていることが多いです。

■カスタマーサクセス
すでにご契約いただいているお客さまと継続的に関係を深め、サービスの活用を支援する仕事です。新規開拓よりも、お客さまの成功をサポートすることに重点を置きます。

■インサイドセールス
電話やオンラインツールを使い、お客さまと商談や相談を行う仕事です。外出がないため、場所にとらわれずに働ける場合が多く、効率的に多くの顧客と接点を持てます。

■来店・反響型営業
広告などを見て、お店や窓口に来てくれたお客さまに対応する仕事です。お客さまの方から興味を持ってくださっている状態からスタートできるため、提案がしやすいのが特徴です。

このように、完全在宅でオンラインや電話だけで完結する働き方を選べる営業職や、ノルマがない営業職も増えています。「営業は無理」と一くくりにせず、それぞれの仕事内容をよく見てみることで、「これならできそう」と思える営業スタイルが見つかるかもしれません。

全て実話! 未経験から営業に転職して年収アップした事例

未経験から営業に転職し、年収を100万円以上アップさせた転職事例をいくつかご紹介します。

■Aさん:公共施設勤務(年収210万円)→生保営業(年収329万円)へ
元々はSNSマーケティングやアシスタントを希望されていましたが、希望年収に見合う求人が見つからず、転職活動を進めるうちに営業職に興味を持ったAさん。ほぼ全員が未経験から挑戦する社風や、家族の転勤を考慮して全国に支社がある点に魅力を感じ、転職を決めました。

■Bさん:修理スタッフ(年収310万円)→来店型保険の営業(年収420万円)へ
Bさんは給与アップを目的に、エンジニアと営業職の両方を検討されていました。最終的に選んだのは、飛び込みやテレアポがなく、来店したお客さまへのアドバイスがメインの営業職です。PCスキルに自信がなくても丁寧に教えてくれる社風も、転職の決め手になったそうです。

■Cさん:販売スタッフ(年収360万円)→カードの内勤営業(550万円)へ
プランの提案がメインで新規営業がない点に魅力を感じ、未経験から営業に挑戦することを決意されたCさん。大手銀行のグループ企業という安定した基盤も、大きな魅力だったようです。

営業以外の道も検討するなら「専門職」という選択肢もあります

営業はコミュニケーション能力や課題解決能力など、どの業界でも生かせるスキルが身に付く仕事。お客さまの課題を解決し、感謝される機会が多いため、仕事への貢献を実感できる魅力もあります。

しかし、やはりどうしても営業職は考えられないという場合は、専門的なスキルを身につけて年収アップを目指す道もあります。

例えば、エンジニアはその代表例です。最初のうちは勉強することが多く、給与も今と比べるとアップできない可能性もあります。しかし、今後も人手が不足する業界といわれているので、経験を積むことで将来的に大きな年収アップを目指せる可能性は高いです。

常に新しい技術を学び続ける必要はありますが、スキルが給与に直結しやすい魅力があります。「手に職をつけたい」「勉強することが好き」という方は、選択肢の1つとして検討してみるのもいいかもしれません。

年収アップを目指す道は、1つではありません。まずはさまざまな仕事があることを知ることから始めて、視野を広げて考えてみてくださいね。
 

この記事の筆者:小林 佳代子
新卒でキャリアデザインセンター入社。転職情報誌および転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。プライベートでは2児の子育て中。

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