高市早苗総務相は17日、安倍政権が進める「働き方改革」の参考にするため、インターネット大手、ヤフーの本社を訪問し、どこにどの社員が座るか決まっていない「フリーアドレスオフィス」などを視察し、同社で導入しているテレワークについてや、将来的な導入を目指している週休3日制の方針について、説明を受けたという。日本テレビなどが報じている。

 

また、日本マイクロソフトは17日から21 日に「働き方改革週間」を実施し、2012年から取り組んできたテレワークなどの柔軟な働き方をさらに推し進めるという。

 

このように、企業や政府がテレワークや在宅勤務を認める動きがある。こうした制度を導入する企業はどのようなことに注意をすればいいだろうか。人事労務コンサルタントの小岩和男氏がAll Aboutで以下のように解説している。

 
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在宅勤務のメリットとは

小岩氏は、「テレワーク」とは、情報通信ネットワークを活用して、時間と場所に制約をされることなく、いつでもどこでも仕事ができる働き方、のことだと説明する。その一つである在宅勤務のメリットを以下のように挙げている。
 
<企業側にとってのメリット>

  • 仕事の生産性・効率性の向上
    研究、開発職務・スタッフ職務などでは、職務内容によって、計画的・集中的な作業実施による業務能率の向上が期待される場合がある。
     
  • オフィスコストの削減
    事業所スペース、ペーパーコスト、通勤手当・旅費交通費などのコスト、事業所省力化による電力消費量の削減効果などが期待できる。
     
  • 優秀な人材の確保
    育児・介護等の事情で有能な従業員が離職することを防ぐことができる。
     
  • 企業活動の継続性の確保
    非常災害時や感染症の流行など、予期せぬ出来事を想定しておく時代において、事業活動場所が分散していることで企業活動停滞のリスクを避けることができる。

 
<在宅勤務を行う従業員側からのメリット>

  • 仕事の生産性・効率性の向上
    従業員にとっては、私生活が確保されている自宅で業務に携わる方が職場での職務遂行よりも精神的負担が少なく、集中できると考えられる場合がある。
     
  • 通勤に関する肉体的、精神的負担が少ない
    通勤にかかる時間を家庭に対する時間に充てることができ、仕事と家庭の両立を図ることがより可能になる。
     
  • 家族との団欒が増える
    家族と過ごす時間や自己啓発などの時間がとりやすくなる。ワーク・ライフバランスがとれることで肉体的・精神的な充実が図れる。

 

在宅勤務導入には課題もある

導入に向けて課題もいくつか考えられると、小岩氏は指摘する。導入の可否は、企業側で希望する従業員の意向を踏まえ、可能な業務内容や業務実態等を勘案して判断することになり、次の点については特に留意してほしいとする。
 
1. 従業員の労働時間や健康等、労務管理が難しい
従業員の勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ない働き方であること等、従来型の労務管理では対応が難しいことが挙げられる。事業所内で、上司の管理下の下に職務を遂行するわけではないので、業績目標達成のため労働時間が長期化する傾向も考えられる。
 
2. 従業員の評価がしにくい
在宅であるため、仕事のプロセスなどを上司が適切に判断できるかどうか、また仕事の結果(成果)を、事業所内勤務者と同じように評価することの是非等、課題がある。

 

労働基準法上留意すること

1. 労働条件の明示
就業規則や採用時の労働条件通知書などで、在宅勤務制度があることを既に明示してあれば問題なく実施できる。但し初めて導入する場合には、在宅勤務導入の際の労働条件の明示(就業の場所として、従業員の自宅を明示)をしなければならない。労働条件の変更であるため、まずはこの点は要チェックだ。

2. 労働時間の管理方法
在宅勤務であっても、通常の事業所内勤務者と同様に労働時間を適正管理できるのであれば、通常の管理でもちろん問題はない。今は、パソコンなどの情報通信機器を活用して業務を行うことが多くなっている。労働時間についても、常時通信されている状況下では通常の管理は可能だ。

自宅で勤務をするわけだから、私生活にむやみに介入はできないと小岩氏は指摘する。従業員の勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ない働き方だから、一定の場合には、労働時間を算定し難い働き方として、事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法第38条の2)を適用することができるという。

 

労働時間の具体的管理方法は

業務に従事した時間・内容を作業日報等で記録、企業側で労働時間の状況の適切な把握に努めることがよいと小岩氏はすすめる。その内容によって、当該業務に必要な所定労働時間や業務内容等について改善を行うことができるので、始業・終業時に上司にメール・電話などで連絡をとるなどのルールを明確にしておくのが望ましいという。

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