
(質問)
正社員でも副業してOKですか? また、副業の経験は転職に役立つのでしょうか?
(回答)
正社員でも副業は可能です。ただ、副業を禁止する法律はないものの、就業規則で副業を禁止していたり、副業を行う際の条件を設けたりしている企業もあります。就業規則に違反をすると処分の対象になってしまう可能性があるので、あらかじめ確認するようにしましょう。副業先の業界や職種、業務内容と転職先での仕事に親和性があるか、現職ではできない実務経験が積めていれば、転職活動の際にも武器になることがあるでしょう。
詳しくは以下で解説します。
まずは就業規則を確認しよう
正社員の副業を禁止する法律はありませんが、まずは自社の就業規則を確認しましょう。2018年以降、厚生労働省は副業・兼業を後押ししていますが、各社の対応はさまざまです。もし、就業規則で「副業禁止」と明記されている場合は、会社の許可なく副業をすると処分の対象になることもあり得ます。副業が可能な場合でも「事前申請」や「競合他社での就労禁止」などの条件を設けている企業が多いため、人事に確認しておくといいでしょう。
就業規則に明確な記載がない場合も、前もって上司や人事に相談しておくと安心です。「他の人もこっそりやっているし、ばれないから大丈夫」と自分で判断するのはトラブルにつながる恐れがあります。
副業をするときに気を付けるポイント
副業をするときに注意したいことは主に以下の3つです。1つ目は本業への悪影響です。例えば、本業の繁忙期と副業の締め切りが重なり、睡眠不足などで本業のパフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。無理をして副業の時間を捻出した結果、体調を崩してしまうリスクもあるでしょう。
2つ目は情報漏えいです。副業先でうっかり本業の機密情報をもらしたことが問題になることもあり得ます。無断で競合他社に関連した副業をしていた場合、情報漏えいを疑われて処分の対象になる可能性もあるでしょう。
3つ目は、確定申告の不備です。副業の所得が年間20万円以上の場合確定申告の義務があります。こうした知識がなく確定申告を怠ってしまうと、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられる恐れもあります。
副業の経験が転職活動の武器になるか?
副業経験が転職活動の武器になるかは、副業先の業界や職種、業務内容と転職先での仕事に親和性があるか、現職ではできない実務経験が積めているかによって異なります。部分的な仕事ではなくビジネスシーンで結果を出せることができれば武器につながります。ただ、副業先によほど深く入り込んでいない限りは多少の経験としてプラスαされる程度と考えておくといいでしょう。例外として、エンジニア領域では本業でWeb開発をしていて、副業でモバイルアプリを開発していた場合などは企業から実務経験として捉えられる可能性が高いです。
転職に有利になる可能性がある副業例
以下に挙げる例は、ポートフォリオなど成果を提示できるという共通点があり、実務経験として直接生かすことができるため、転職にも有利に働きやすいです。1. プログラミング・ウェブ開発
デジタル時代の今ならどの業界でも高く評価されます。特にIT業界への転職を考えているならなおさらです。自分の作成した成果物をポートフォリオとして提示するといいでしょう。
2. デザイン(UI/UX)
商品やサービスの魅力を引き出すデザインスキルは、マーケティングや広告業界でも重宝されます。デザインツールを使いこなせるスキルを持っていると、アピールポイントにつながります。
3. ライティングやコンテンツ作成
メディア業界や広報やマーケティングの仕事においては、ブログや記事作成、コピーライティングのスキルは有利に働きます。SEOやデジタルマーケティングの知識があればなおいいでしょう。
4. データ分析・データサイエンス
データを基にした意思決定が重視されるため、データ分析に関する知見は重宝されます。PythonやRなどのプログラミングスキルもあると非常に強い武器になります。
なお、副業経験については職歴書に書いても問題ありません。その際、記載内容が機密情報の漏えいに当たらないか注意しましょう。
収入増以外にもさまざまなメリットが
副業には、収入アップだけでなく、自己成長を実感でき、キャリアの可能性が広がるメリットがあります。収入源が増えて経済的な安定感が高まるだけでなく、異なる業界で働くことで視野が広がったり、本業では得られない多様な経験やスキルの取得、そして人脈が広がるチャンスもあるでしょう。副業をする際には、気を付けるべきポイントをしっかり抑え、本業と両立できるようにしましょう。