「花魁」の年収は1億超えだった!? 大河ドラマでも注目を集める花魁の実態とは

2025年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)でも注目を集める花魁。花魁の実態について、「All About」学習・受験ガイドの宮本毅が解説します。(画像出典:NHK公式Webサイトより)

花魁は実は高偏差値だったって本当?
花魁は実は高偏差値だったって本当?(画像出典:NHK公式Webサイトより)
2025年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)。小芝風花さんが伝説の花魁(おいらん)・花の井(五代目瀬川)を演じていることでも注目が集まっています。

「花魁」と聞くと、華やかで美しい姿が思い浮かびますが、その実態はどうだったのでしょうか。「All About」学習・受験ガイドの宮本毅が解説します。
 

(今回の質問)
花魁は実は高偏差値だったって本当?

 

(回答)
花魁が接待する相手は各地の大名や幕府の高官、豪商などであったため、話を合わせるためにさまざまな教養を身に付ける必要があった。頭が良くないと務まらなかったと言える。

最高級の遊女・太夫とは?

花魁について説明する前に、まずは「太夫(たゆう)」について解説しなくてはなりません。太夫についての認識があやふやで、花魁についてもなんとなくしか理解できていない人も多いでしょう。

「太夫」とは「花街や遊郭で活躍した最高級の遊女や芸妓に与えられた称号」のことです。太夫は豪商や大名たちの相手をしなくてはならなかったため、教養も深く芸事にも優れていました。当然頭が良くなければ務まらなかったでしょう。

やがて日本橋にあった吉原が1657年に起こった明暦の大火で焼け落ちてしまい、浅草寺の裏手に移転されてできたのが新吉原です。その時に増えたのが太夫よりも下の階級である「散茶女郎(さんちゃじょろう)」と呼ばれる遊女たちでした。

花魁のルーツは「散茶女郎」

江戸中期ごろになると幕府も大名たちも財政難に苦しむようになります。すると指名するのにお金がかかった太夫が姿を消し(京都の島原や大坂の新町などでは残った)、代わって「散茶女郎(さんちゃじょろう)」が吉原のトップに躍り出ました。

「散茶女郎」は「呼出(よびだし)」「昼三(ちゅうさん)」「附廻(つけまわし)」という3つの格付けに分かれて活躍するように。このうち「呼出」と「昼三」は妹分の「新造(しんぞう)」や見習い遊女である「禿(かむろ)」を引き連れて、新吉原のメインストリートを練り歩いて妓楼と揚屋を往復することが許されました。これを「道中(どうちゅう)」と言います。

このときに禿が、自分が仕える散茶女郎を指して、「おいらんとこの太夫でありんす」などと紹介したところから、やがて道中をする散茶女郎を「おいらん」と呼ぶようになりました(※諸説あり)。

次第に「道中」は、より豪華に美しく見せようと派手さを増していきました。移動の際には高さ18cmにもなる黒塗りの三枚歯高下駄を履き、独特のウオーキングスタイルで練り歩いたようです。まさに江戸時代版のランウェイ。これが皆さんおなじみの「花魁道中」ですね。

花魁の年収は1億超え!?

では一体、花魁の収入はどのくらいだったのでしょうか。

江戸文化研究家の菅野俊輔氏によるとその年収は1億2960万円だそう。これを高いとみるか低いとみるかは人ぞれぞれですが、中には身請け金として5億円かかった遊女もいたそうなので、われわれ庶民には縁遠い、華やかな世界だったのでしょう。
 
べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)
べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)
 
この記事の筆者:宮本 毅
算数・国語・理科・社会の4科目すべてを指導する塾講師。生徒のやる気を引き出し、自立学習のさらに先にある「自発学習」を目指す。著書に「はじめての中学受験」「ゴロ合わせで覚える理科85」などがある。
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