(今回の質問)
山手線の起点はどこ?
(回答)
山手線の起点は品川駅である。ちなみに終点は田端駅で、路線自体は、正式には環状線ではない。
山手線の起点と終点

中には、東京駅のホーム下にゼロキロポストがあるから東京駅が起点では? という人もいる。しかし、それは正しくない。そもそも、運転系統としては環状運転なので東京駅も上野駅にも山手線ホームと書いてあるけれど、それは正式なものではない。
路線の戸籍にあたる「鉄道要覧」(国土交通省監修)には、起点は品川駅で、渋谷駅、新宿駅、池袋駅を経由して田端駅に至る20.6㎞の路線が山手線とある。それゆえ、JR品川駅の改札内コンコースの片隅に山手線ゼロキロポストが設置されている。では、残りの区間は、どうなっているのだろうか?

山手線の本線と支線


また、正式には、環状区間の半分ほどしか山手線ではないけれど、JRの長距離きっぷで東京山手線内という表記があるように、運賃計算上では山手線は環状運転区間全てを指しているから話は少々ややこしい。
運転系統としての通称と実態

横須賀線は、戸籍上は、大船駅~久里浜駅23.9kmのみであり、東京駅~大船駅は東海道本線に乗り入れという形をとっている。品川駅~鶴見駅付近は、かつては品鶴(ひんかく)線という貨物線(東海道本線の別線扱い)だった。
総武線各駅停車は、御茶ノ水駅から東の区間が本来の総武本線であり、御茶ノ水駅~三鷹駅は中央本線乗り入れ区間だ。快速電車に対し、中央・総武緩行線という表記があちこちに見られる。したがって、総武線水道橋駅といった表記は正しくない。
京浜東北線は、あくまで運転系統であり、そのような路線は、本来は存在しない。大宮駅~東京駅=東北本線、東京駅~横浜駅=東海道本線なのだ。そして、横浜駅~桜木町駅~磯子駅~大船駅=根岸線となる。
埼京線という路線も存在しない。あくまで運転系統であり、大崎駅~池袋駅=山手線、池袋駅~赤羽駅=赤羽線、赤羽駅~大宮駅=東北本線(の支線)となっている。ちなみに、大宮駅から川越駅までは川越線という別の路線に乗り入れる形をとる。
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。