長崎の秋の伝統行事「長崎くんち」が目前に迫った4日、演し物のリハーサルを行う「人数揃い(にいぞろい)」が長崎市内の各地で行われ、6つの踊町(奉納踊を披露する当番の町)が稽古の成果を披露した。長崎新聞などが報じている。
「長崎くんち」はどのようなお祭りなのだろうか。お祭り評論家の山本哲也氏は10月におすすめのお祭りの一つに長崎くんちを挙げており、その見どころや見る際のポイントをAll Aboutで解説している。
**********
長崎くんちの歴史
長崎くんちは、寛永11(1634)年、諏訪神社で謡曲を奉納したことが始まりと言われ、キリシタン弾圧対策として長崎奉行が援助し、年々盛んになっていったと山本氏は説明する。「くんち」の呼び名は、旧暦9月9日(つまり「くにち」)に行われたことに由来しているという。
どのようなお祭りか
長崎くんちでは、踊りや演し物などが繰り広げられるため、一般客はそれを鑑賞して楽しむ。おもに市内4カ所に設置された「踊場(おどりば)」で集中的に演じられるほか、町中各所でも「庭先回り」を見ることができるという。「庭先回り」とは、お祝い(いわゆるご祝儀)を出す事業所や家庭の前で、短い踊りやお囃子・演し物などを披露するものという。
このほか、他の祭りでの「神幸祭・還幸祭」にあたる、神輿のお下り・お上りもある。
3日間のおもなスケジュールは以下の通り。
10月7日
- 奉納踊り 7:00~ 諏訪神社→公会堂前広場→お旅所
- 神輿お下り 13:00~ 諏訪神社→お旅所
10月8日
- 奉納踊り 7:00~ 八坂神社→公会堂前広場
10月9日
- 奉納踊り 7:00~ お旅所→諏訪神社
- 神輿お上り 13:00~ お旅所→諏訪神社
奉納踊・演し物を披露する町は踊町と呼ばれ、7年周期の当番制になっているとされている。2016年の踊町は、上町・筑後町・元船町・今籠町・鍛冶屋町・油屋町・中町。
どのように観覧ができるか?チケットは?
基本的に、踊場で演し物を見るならば、観覧席券が必要となるという。例年6月頃からプレイガイド・コンビニなどで全国発売を開始しているが、今年も早々に完売している。
もし直前に祭りへ行きたくなったり、出張や旅行ついでに見たくなったりした場合は、以下の方法があると山本氏は述べる。
- 諏訪神社での立ち見席の当日販売に並ぶ
- 市内各所での「庭先回り」を楽しむ
庭先回りの観覧は基本的に無料という。庭先回りのルートおよび通過予定時刻は、マップが長崎駅の観光案内所などで配布されるほか、ホームページでも公開されている。
観覧する際の注意点は
雨天の場合は中止・順延となる。特に「庭先回り」を見たい場合は注意が必要という。
山本氏によると、祭りの観覧ツアーがあれば観覧席と宿がセットになっており、便利だが、ない場合は通常の出張用パックなどで市内の宿を予約するか、宿のキャンセル待ちにかけるといいという。朝が早い行事のため、特に7時からの奉納行事を見るには長崎市外の宿をとって電車(JR)で移動するという手は「非現実的」と山本氏は指摘している。
■長崎くんち
開催期日:毎年10月7日~9日(毎年同日)
アクセス:JR長崎本線 長崎駅下車
電話:095-822-0111 (長崎伝統芸能振興会(長崎商工会議所内))
写真提供:(一社)長崎県観光連盟
【関連リンク】