この『UMP』ですが、実は“複雑な事情”があり、まさにファン待望となる作品。他の楽曲とは違い、今後のHey! Say! JUMPにおいて活動の象徴となる1曲になりそうです。そこで、今回は新曲の魅力を解き明かしつつ、その“複雑な事情”についても解説します。
デビュー曲が歌えなくなったHey! Say! JUMP
まずHey! Say! JUMPですが、2007年9月に結成され、同年11月にシングル『Ultra Music Power』でCDデビューを果たします。その後は山田涼介さんを中心に各メンバーが人気となり、現在まで高い支持を維持し続けています。今回の新曲である『UMP』ですが、デビュー曲の『Ultra Music Power』と深い関係を感じさせる1曲です。まず、『Ultra Music Power』に関して説明すると、デビュー曲であり、コンサートでも盛り上がる1曲として長く愛されてきました。しかし、メンバーの総意で今後は歌わない方針であることが発表されています。大切なデビュー曲ですが、歌詞の中に「ジャニーズ」という言葉が含まれていることが原因です。
このデビュー曲の封印宣言は、ジャニー喜多川氏の性加害問題が大いに関係。旧ジャニーズ事務所のタレントたちは決別を意味し、この世から「ジャニーズ」と名のつくものは原則的に消滅させることに。グループ名変更もあり、関ジャニ∞は「SUPER EIGHT」に、ジャニーズWESTは「WEST.」に変更。そんな事情もあり、『Ultra Music Power』も一部の歌詞の問題で性加害問題に巻き込まれ、歌わない方針になってしまったのです。
そんなメンバー、ファンにとって苦しい決別をした『Ultra Music Power』に代わり、グループを代表する作品になりそうなのが、今回の新曲である『UMP』。
『Ultra Music Power』の頭文字を取ったように思われるタイトルで、発売日の9月24日はグループの結成発表日。さらに楽曲のメロディが似ていて、歌詞にも共通点があるなど、『UMP』は『Ultra Music Power』の代わりに制作された作品だと言えそうです。では、『UMP』はどんな楽曲なのでしょうか。
『UMP』はエモさ全開でメンバーの進化を感じられる新曲
いろいろと話題の『UMP』ですが、メンバーが楽曲選びから制作に携わった作品だそう。ライブでも盛り上がりそうな疾⾛感あふれるメロディとアレンジが印象的で、息をつく暇もないような高速のラップを聴くことができます。
印象的な歌詞は、過去に『春玄鳥』や『サンダーソニア』の作詞も担当した人気バンド・sumikaの⽚岡健太さんが制作。ファンとの絆を感じさせるエモい詞となり、往年のファンは涙腺が崩壊すること間違いなしの楽曲に仕上がっています。
また、MVで歌唱を聞くと、『Ultra Music Power』と比べメンバーの確かな成長を感じることができます。『Ultra Music Power』はアイドルらしい楽曲でしたが、『UMP』はメンバーが成熟したボーカルをそれぞれ披露。色気のある歌声を聞かせ、グループとして進化していることを証明しています。振付の一部も『Ultra Music Power』をほうふつとさせるほか、ラスサビ前の間奏部分には『Ultra Music Power』のサビと思われるメロディーもあり、ファンは盛り上がること間違いなし。SNSでは、他にも両作品の共通点に関する考察が多く書き込まれ、さまざまな話題を生み出している一曲となっています。
Hey! Say! JUMPのファンには忘れられない新曲に
さて、新曲を発売するHey! Say! JUMPですが、ファンは2023年から心が落ち着かない状態が続いていたのではないでしょうか?性加害問題でデビュー曲の実質的な封印があり、さらにメンバーの結婚発表。グループでの活動が少なくなっていた中で、解散もふくめ今後はどうなっていくのか不安に感じていた人も多いと思います。
そんな中で、デビュー曲を思わせるエモさ全開の新曲を発表することで、メンバーはファンの不安を吹き飛ばしてくれました。新曲のリリース文でも、「たくさんの準備期間を経て⽣まれた」作品であることが公表されています。メンバーも、ファンがいろいろとグループの活動に関して悲しい思いをしていたことは知っていたでしょう。だからこそ、このタイミングでデビュー曲に変わる作品を発表したのだと考えられます。
同じくリリース文では、「グループ結成、CDデビューから17年となる今年、その先に⾒える20周年へも向けて、グループとしての新たな代表曲となる作品を届けたいという想いのもと企画されました」と、20周年への意欲もつづっています。未来への期待が持てるコメントで、グループの変革期を象徴する楽曲が『UMP』になるという思いが、メンバーやスタッフから感じられます。
今後、『UMP』は新たなグループの代表曲となり、20周年へ向けてファンには忘れられない新曲になっていきそうです。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。