外国人観光客が興味を持つ日本の文化はたびたび話題になりますが、在住歴が長い外国人は、日々日本で生活をする上でどのようなことを感じているのでしょうか。
日本のグラフィックデザインや建築が好き
「日本のグラフィックデザインや建築が好きで、日本に興味を持ち始めました。最初は日本語学校に通い、そのあと建築科の学校に進学したんです。その後、就職してからは、広告代理店で旅行関連のパンフレット製作などにも携わりました」
旅行が好きだというWさん。日本で好きな旅行先を聞いてみると、こんな答えが。
「建築やデザインに優れたホテルを探すのが好きなので、行きたいホテルを先に決めてから、旅行先を決めています」
現在Wさんは、訪日外国人向けのWebサイトで編集、制作、運営を担当しているそうです。
「電車が急停車したとき……」男性に足を踏まれ
そんなWさんに、日本と出身国を比較して、違いを感じるところを聞いてみると、「これはあまりいい印象ではないことかもしれませんが……」と話してくれました。「日本人には、『思っていることを表には出さない』という性格の人が多いと感じていました。ですが、来日1年目のある日、ものすごく混んでいる電車に乗って、その電車が急停車したとき、となりに立っていた男性の足を、誤って踏んでしまったことがあったんです。もちろんわざとではなかったので、『ごめんなさい』ととっさに謝ったんですが、その男性に足を踏み返されてしまって……。普段はあまり感情表現をしない日本人ですが、電車内のようにストレスがかかる環境だと、感情が表に出やすくなって、態度や顔色にとっさに現れる。それが怖いと感じました」
それは、災難な出来事ですね……。日本の満員電車そのものに対する驚きもあったのでしょうか。
「日本に来て間もない頃には、満員電車にも驚きましたね。ラッシュの時間帯だと、駅員さんがドア付近の乗客を押し込むこともあるじゃないですか。それが本当に信じられなくて……」
たしかに、あれは憂鬱(ゆううつ)ですよね。ちなみに、台湾での電車内はどのような雰囲気ですか? 台湾にも満員電車はあるのでしょうか。
「満員電車の状態は、私は一度も見たことがないですね。台湾では、電車内の席はかなり空いていて、立っている人が多いです。本当に席に座る必要がある人のために、席をゆずり合う意識が高いのかもしれません」
そのほか、台湾だと、人と人との距離感が近く、普段のコミュニケーションでも感情を表に出す人も多いとWさんは教えてくれました。
状況が違えば、日本の電車内でも心遣いにあふれた場面だってあるのかもしれませんが、どれだけ窮屈な環境であっても、最低限のマナーや配慮は忘れないようにしたいですね。