「〇〇(芸能人)と飲みたいです!」
「ギャラ飲みに参加して、お金持ちの男性と出会いたいです」
その女性とは、X(旧Twitter)で4万5000人のフォロワーを持ち、“港区取締役”を自称するひとみん氏(@htm_192)だ。
ひとみん氏は、自身も港区女子であり、港区女子と富裕層の男性たちとのギャラ飲みをセッティングすることもあるという。
そんな彼女に、SNSやネットニュースをたびたび騒がせる“港区女子”のお金と恋愛事情について聞いた。
「住んでいる場所は千葉や埼玉」港区女子の実態と目的
港区女子とは「ハイステータスな人たちが集まる東京・港区(六本木・麻布など)を活動拠点とし、夜な夜な港区に集う女性たち」のことをいう。しかし、港区女子=港区在住の女性かというと必ずしもそうではない。
ひとみん氏「港区女子の多くは、地方出身で上京してきた大学生から30代のOLやラウンジ嬢、芸能関係の容姿端麗な子。住んでいる場所は千葉や埼玉が多く、そこから港区に夜な夜な出てくる感じですね」
ひとみん氏は、港区女子と港区に集う芸能人、スポーツ選手、経営者などの富裕層の男性との“ギャラ飲み”をセッティングしている。ギャラ飲みとは、男性が女性へタクシー代や謝礼を支払う飲み会の俗称で、彼女の元には毎日のように冒頭のようなギャラ飲み志望の女性からメッセージが届くという。
「港区女子たちは、ギャラが欲しいという理由以外に、普通に生活していたら出会えない男性と出会いたい、普段できないぜいたくが味わいたい、自己実現のために人脈を広げたい、などの理由で港区を訪れるケースが多いです」
ひとみん氏によると、港区女子は、富裕層の男性との恋愛や結婚を目的としているイメージがあるが、必ずしもそうではなく、あくまで自己実現のために港区を訪れるケースが多いようだ。
ひとみん氏自身も、現在恋人はおらず「持つべきものは恋人や友達ではなく、お金持ちの知り合い」という価値観を持っている。
「どうでもいい人と食べる高くて映えるフレンチ方が100倍美味しい」
恋愛や結婚よりも一個人としてのライフスタイルを充実させたい――。こう考えるのは、ひとみん氏をはじめとした港区女子だけではないようだ。
昨今、若者の「恋愛・結婚離れ」がたびたび話題に上がる。リクルートが運営する『リクルートブライダル総研』の「恋愛・結婚調査2023」によると、20~40代の未婚男女の約4人に1人が「結婚はしたくない」と回答している。
結婚したくない理由を見てみると、男性では「金銭的に余裕がなくなるから」がトップだ。
この結果を反映するように、SNS上では「好きじゃない人と食べる高級フレンチよりも、好きな人と食べる牛丼が1番おいしい」「サイゼリヤで喜ぶ彼女」など、“愛はお金じゃない”といった名言がたびたび話題になっている。
これに対し、ひとみん氏はXにて「心許せる人と食べる牛丼より、どうでもいい人と食べる高くて映えるフレンチの方が100倍美味しい。というか牛丼に連れてく男の方がどうでもいい」と一蹴。投稿には賛否が飛び交ったが、女性を中心に「真理」「ぶっちゃけ分かる」といった同意の声もあった。
まさに金銭的な制限によって、自分の行動や生き方を制限されたくないと考える最たる存在が「港区女子」だといえそうだ。彼女たちにとって、年上の富裕層の男性=“港区おじさん”は、同世代の男性にはない経済的な余裕があり、自身の行動や生き方を広げてくれるような存在に見えるのかもしれない。
若さを換金してきた港区女子たちの末路
しかし、港区女子たちはいつまでも港区女子として生きられるわけではない。ひとみん氏いわく、20~30代を華やかな港区で過ごした港区女子は「全然幸せじゃない」という。「港区女子は基本的にルックスがよく、若さや美しさを換金して、ちやほやされて生きてきた女性。一方、ギャラ飲みに参加する男性は、40歳以上のお金持ちの既婚者が多い。港区女子たちは、最初男性から猛アプローチされ、ぜいたくを覚えるけど、新しい港区女子がくれば、次第に相手にされなくなる。アラサー以降になると、病む港区女子も多いですよ。自身の夢を実現した港区女子もいるけど、それができるのはごくわずかだから」
一度港区でぜいたくを覚えた港区女子たちは、同世代の男性と金銭感覚が合わなくなり、付き合うことが困難になるという。さらに周囲の女性たちがキャリアアップや結婚、出産などで人生を進めていく中、港区で過ごした時間をまるで“浦島太郎”状態に感じる港区女子も。
港区女子たちのリアルは、思った以上に厳しい。若さを換金してきた港区女子たちは、若さを失った時、何を思うのだろうか。
この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。