領収書を紛失してしまいました。確定申告で経費にすることは可能でしょうか? 【FPが解説】

複雑で時間がかかる確定申告は、不安な人も多いですよね。編集部側で設定したケースに対して、ファイナンシャルプランナーの川手康義が回答・解説します。今回のテーマは、「領収書をなくした場合、確定申告で経費にできるのか」です。

領収書を無くしてしまった……どうすればよい?
領収書をなくしてしまった……経費にすることは可能?
複雑で時間がかかる確定申告。正しく理解できているか不安……そんな人もいるかもしれません。今回は、ファイナンシャルプランナーの川手康義が、編集部に設定された質問に回答・解説します。
 

(今回のケース)
領収書を紛失してしまいました。確定申告で経費にすることは可能でしょうか? 代用できるものはありますか?

(回答)
領収書を紛失してしまった場合、証明する代替物などがあれば、確定申告の経費にすることは可能です。具体的にはクレジットカードの利用明細やICカードの利用履歴、ATMの振り込み明細などです。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

まずは再発行が可能か確認。不可であれば代替物を

領収書を紛失してしまった場合、まずは再発行が可能かを取引先に確認してみましょう。再発行が不可な場合であっても、取引を証明する代替物があれば、確定申告の経費にすることが可能です。

●取引を証明する代替物の例
・クレジットカードの明細書
・交通系ICカードの利用履歴
・電子マネーの利用履歴
・ATMの振り込み明細
・レシート

また、近距離の鉄道やバス代金を現金で支払った場合や、慶弔関係の「お祝い」や「お悔やみ」など、そもそも領収書がない場合はどのようにすればよいでしょうか。この場合、慶弔関係であれば招待状・案内状・会葬礼状が取引を証明する書類になります。近距離の鉄道やバス代金の場合は、支払った日付、支払先、支払った内容、支払額などを記載した「出金伝票」を作成すれば取引を証明する書類となります。出金伝票は100円ショップでも手に入りますし、Excelを用いた自作のものでもよいでしょう。

確定申告に領収書の提出は必要ありません

意外に思われるかもしれませんが、そもそも確定申告する際に領収書を提出する必要はありません。

必要とされているのは「必要経費の内容を記載した書類」で、領収書を提出する必要はないのです。一方で、取引を証明するために、青色申告事業者は7年間、白色申告事業者は5年間、または雑所得にあたる業務をしていて前々年分のその業務の収入金額が300万円を超えている場合は5年間、領収書の保存は義務とされています。なお領収書を紙ではなく電子データでやりとりした場合には、一定の要件を満たして電子データのまま保存しなければなりません(電子帳簿等保存制度)。

確定申告の際に提出の必要はないとはいえ、領収書は取引を証明する重要な書類です。税務署からの問い合わせなどがあった際、すぐに提示できるよう大切に扱いましょう。
 
この記事の筆者:川手 康義
元製薬企業MR(医薬情報担当者)のCFP・1級FP技能士。日本ファイナンシャルプランナーズ協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営に携わっている。
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