猛毒のキノコ「カエンタケ」が全国各地で見つかっている。

  

河北新報によると、仙台市太白区長町越路の山林でカエンタケが見つかったという。神戸新聞も、昨年8月に兵庫県西宮市の市街地に近い山林でカエンタケが初めて確認され、今夏には県立甲山森林公園や市立甲山自然環境センター内のキャンプ場でも見つかったと報じている。

  

厚生労働省によると、カエンタケは、毒性が強く、食べても触っても危険だという。表面はオレンジ色から赤色、細長い円柱状または棒状で、土から手の指が出ているように生える。発生は夏から秋で、ブナやコナラなどナラ類の広葉樹林の地上に発生するという。カエンタケを食べると発熱や悪寒、嘔吐、下痢、腹痛、手足のしびれなどの症状を起こし、脳神経障害により死に至ることもあるという。

 

カエンタケ
カエンタケ(出典:厚生労働省ホームページ

 

カエンタケは見た目も気味悪く、危険に気づきやすいキノコだと考えられるが、キノコの中にはわかりにくいものも多い。これからキノコ狩りが本格化する季節になるが、キノコによる食中毒から自分の身を守るためにできることは何か、そしてキノコ狩りの注意点について、アウトドア雑誌の編集長を務めていた小林孝延氏がAll Aboutで解説している。

 

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キノコを見分けるのはプロでも困難

小林氏によると、毒キノコによる食中毒患者数は毎年100~200名にものぼり、多くが10月に集中して発生しているという(厚生労働省調べ)。

 

日本では1500種類以上のキノコがあるといわれ、そのうち食べられるとされているのは300種類。キノコはプロでも見分けるのが難しいと小林氏は述べる。

 

食用に適すかどうかが不明なものも多く、ウラグロニガイグチのように可食とされているのに中毒が発生するものや、ベニテングダケのように有毒成分を含みながらも地域によっては独自の調理法で食用としているものなど、境界があいまいなものも存在するという。

 

もっとも誤食が多いツキヨタケとは?

ヒラタケであると販売していたものに有毒のツキヨタケが混じっていて、購入者が中毒症状を起こした事件が過去にはあるとして小林氏は例に挙げている。キノコによる食中毒のうち年間約3割がこのツキヨタケによるものだという。

 

ツキヨタケ
ツキヨタケの注意点(出典:厚生労働省ホームページ

 

ヒラタケもツキヨタケもブナやミズナラなどの枯れ木や倒木に重なって群生するので、プロでも間違えやすいという。

 

ツキヨタケを誤食すると、食後30分から数時間で嘔吐や下痢、幻覚、脱水症状などが起き、死亡例の報告もあるという。同じく食用のシイタケやムキタケも同じような時期に同じ場所に混成するため、誤食が後を絶たないと小林氏は説明する。

 

一般的に、ツキヨタケの特徴としてキノコを割ったとき黒いしみがあることや、暗い場所では発光するなどと言われるが、判別基準としてはわかりにくいという。かなりベテランのキノコハンターでもヒラタケはツキヨタケと見分けがつきにくいので、みつけても採らないという人もいると小林氏は述べる。

 

誤食しやすいキノコの例

このほか誤食が多いキノコとして以下のものを挙げている。

  • クサウラベニタケ
    別名「名人泣かせ」と呼ばれるほど。食用のウラベニホテイシメジやハタケシメジ、ホンシメジ等と似ている。中毒症状は食後10分から数時間で神経系、消化器系の中毒を起こす
  • カキシメジ
    食用のニセアブラシメジ、ヌメリササタケ、チャナメツムタケに似て、いかにも茶色くておいしそうな見た目。食後30分で頭痛、腹痛、嘔吐、下痢を引き起こす
  • ニガクリタケ
    枯れ木や朽木に群生するクリタケによく似て誤食が多い。苦みが強いので口にするとクリタケではないことがわかる。中毒症状は嘔吐、下痢、けいれんなどで死亡例も報告されている
  • ドクツルタケ
    猛毒。嘔吐、下痢、腹痛、肝機能や腎機能障害などを引き起こし死に至ることもある

  

キノコ狩りの鉄則

キノコによる中毒の約90%は家庭での調理で発生しており、小林氏も「実際の話、自分で採ったキノコを食べさえしなければ中毒になることはほとんどない」としているが、それでも自分で採ったキノコで旬を感じたいという場合にはどうすればよいか。小林氏は以下の注意点を挙げている。

 

  1. 観察会に参加すべし
    自治体やNPOが主催するキノコ観察会に参加し、専門家に同行してもらいながらキノコの基本、正しい知識を教えてもらうことが重要
  2. 信頼できる図鑑を複数手に入れるべし
    キノコ狩りの必需品はキノコ図鑑。ただし、小林氏は図鑑を見ただけでは完璧にキノコの種類を判別するのは不可能だと指摘している。キノコは同じ種類でも育った環境によって色や形も様々であり、地方によって呼び名が違うものもある。そのため、信頼できる複数の図鑑を手に入れることが必須だという。山と渓谷社のカラー名鑑シリーズとキノコを実際に採取する地域版の図鑑(地元の新聞社などが出版しているもの)、さらに毒キノコを専門に扱った図鑑などを揃えておくことを小林氏は勧めている
  3. ひとつの山を徹底的に覚えるべし
    キノコを覚える時は毎回、同じ場所に繰り返し行くこと。どの場所に、どの季節に、どんな種類のキノコが生えるのか。そして、そこで採れるキノコの特徴をしっかりと頭に叩き込むことが大事だと小林氏は説明する
  4. 迷信を信じるべからず
    縦に裂けるキノコは安全であるとか、ナスと一緒に煮込むと毒が消える、塩漬けにすると安全、かじってみて苦くないものは大丈夫、ナメクジや虫が食べているキノコは安全、派手な色は毒だが地味な色のキノコは食べられるなどの迷信は嘘であり、信じないこと
  5. 生で食べるべからず
    可食とされるキノコでも生食厳禁というものも少なくないという。野生のキノコは必ず塩茹でするなどして中までしっかりと火を通すことを小林氏は指摘している。「焼く」のは均一に中までしっかり火を通すには不適なため茹でるほうが確実という
  6. 食べ過ぎに注意すべし
    食べ過ぎないことも小林氏は注意点に挙げている。キノコは消化がよくなく、キノコは菌類なため体調によってはお腹をこわすこともあるという
  7. 疑わしきは食べるべからず
    採取したキノコの判断がつかず、下山後、詳しい人に見せても色や形状などに変化が起きているなどして正確な判断が難しい場合もあるという。確信をもてない場合は食べないのが鉄則
  8. 毒キノコが混入していたら一緒に持ち帰ったキノコは食べない
    持ち帰ったもののなかに毒キノコが混入していた場合、一緒に袋等にいれていたキノコすべてを食べないほうがいいという。毒キノコの菌糸が散らばっているため危険という

 

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