この旗当番に関しては、さまざまな意見が各地で飛び交っているようですが、今回は埼玉県在住・3児の母である筆者が抱く、旗当番にまつわる悩みや周りの保護者から聞いた本音の数々を紹介します。
登校に関する当番は1人あたり月6回?
筆者の地域では、小学生は5〜10人で登校班を編成し、決められた時間に集合場所に集まって登校しています。旗当番の担当箇所は町単位で決まっていて、筆者の町では、信号がない横断歩道と信号がある横断歩道の2カ所を交互に担当します。世帯数も子どもの数も多い町なので、1カ所に3人ずつ割り振って旗当番を1日に計6人を捻出しても、7〜8年前までは1人につき月1回程度の頻度でした。しかし、年々少子化の影響や世帯数の減少は顕著で、気が付けば今では1カ月に2回という頻度に。集合場所に全員が集まったかを確認して見送る当番もそれぞれが週に1回担当しているため、登校にまつわる当番は月に6回も回ってくるというわけです。
頻度の増加で「旗当番が大変」という声がますます増えている現状。そもそも、旗当番の何が大変なのか、周囲の声を踏まえて振り返ってみました。
旗当番で大変な要素1:「子どもより早く出る」問題
平日の朝。ただでさえ、子どもを起こし、数分置きに放心している子どもをまくし立てながら準備をさせ、集合時間目前でやっと玄関に立ったと思ったら、急に子どもがポケットモンスターの裏情報をすごい勢いで話し始め、無理やり送り出した後に忘れ物に気付いて子どもを追いかける……のようなドタバタ劇を無限ループで繰り返しているわけですが、旗当番の日は、そんな子どもを尻目に10分ほど早く家を出なければなりません。この「子どもより早く出る」状況に関しては、インターネット上でもさまざまなケースや意見が見られます。しかし、わが家の周辺の家庭をはじめ、「父親は登校時間よりも早い時間に出勤していて不在のため、母親が旗当番を担当している」といったケースが多いようです。
旗当番で家を早く出る日は、子どもがきちんと家を出られるのか、忘れ物で戻ったり、急にトイレに行きたくなって集合時間に遅れたりしたら……など、親としての不安が尽きませんが、それでも子どもを信じるしかありません。中には、旗当番の保護者と一緒に家を出た子どもが、集団登校の待ち合わせ場所で時間を持て余し、集合時間まで1人立ち尽くす姿もよく見かけます。
旗当番で大変な要素2:「未就学児の留守番」問題
幼いきょうだいを抱える家庭では、特にネックになりやすい「未就学児の留守番」問題。筆者の地域では絶対ルールとして、未就学児を連れての旗当番は禁止されています。小学生の児童と未就学児、双方の安全を考えればもっともなルールなのですが、家を出てから旗当番を終えるまでの約30分ほどの時間を、1人で留守番できない未就学の子どもは多いようです。
筆者の周りの保護者に調査すると「旗当番の日は夫に遅く出勤してもらう」「近くに住んでいる祖父母や義父母に来てもらう」「近所のママ友に見てもらう」など、当番表を見て、1カ月以上前から手はずを整えておかなければならない、という声が多くありました。
朝が冷え込む冬などは、30分間のために祖父母に出てきてもらうのも、なかなか気が引けます。ママ友の場合も、互いに未就学児を抱えてギブアンドテイクの関係ならまだしも、こちらだけが預かってもらう立場となると、やはり気を遣いますね。
旗当番で大変な要素3:「旗の受け渡し」問題
共働き家庭やシングル家庭は全く珍しくない昨今。毎日子どもを送り出したらすぐに出勤、という人も多く、旗当番が終わったらそのまま走って駅へ向かう保護者の姿を目にすることも。当番の日は、出勤時間を遅らせてもらっているという声も聞きます。決められた場所に旗が置かれている地域もあるようですが、筆者の町では基本的に直接、旗の受け渡しを行う必要があります。
夫婦ともに出勤時間が早い共働き家庭の場合、次の担当と夜に待ち合わせて受け渡しを行うこともあるそうです。中には、外国籍の保護者とうまく連絡が取り合えず、マンションのオートロックのエントランス前で15分待ちぼうけ……のような状況になる人も。
さらに、「雨の日は濡れたまま旗を渡すわけにはいかないので、乾かしてから渡すために出直す」などの気遣いをしている保護者もいます。このように、旗の受け渡しは気を遣い、トラブル要素を秘めた作業なのです。