藤井聡太七冠、いよいよ「王座」に挑戦! 史上初の「八冠獲得」なるか? 見どころを分かりやすく解説

8月31日に開幕する将棋の第71期王座戦。藤井聡太七冠が「王座」のタイトルを奪取して、タイトルを独占し、藤井八冠となるかに注目が集まっています。タイトル戦のしくみと注目ポイントをまとめました。(写真:日刊スポーツ/アフロ)

藤井聡太七冠は2002年7月生まれの21歳。プロの棋士としては若手で、同年生まれの棋士が他に2人、年下の棋士は1人しかいません。この若さで藤井七冠が将棋界に8つあるタイトルを独占し、史上初の八冠なるかにいま、注目が集まっています。
八冠獲得なるかに注目が集まる、藤井聡太竜王・名人(写真:日刊スポーツ/アフロ)
八冠獲得なるかに注目が集まる、藤井聡太竜王・名人(写真:日刊スポーツ/アフロ)
将棋界には竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖の8つのタイトルがあり、タイトルは冠に例えられます。現在は7つのタイトルを保持しているので、藤井七冠と呼ばれます。ただし正式には、最も格の高いタイトルである竜王と名人の敬称で呼ばれるため、「藤井聡太竜王・名人」が本来の呼び方です。

そして今回、唯一持っていないタイトル「王座」をかけた戦いが8月31日から始まります。ここでは、タイトル戦のしくみや王座戦の注目ポイントをまとめました。

6年前にタイトルが増えて8つに

タイトル独占を前回実現したのが将棋界のスーパースター、現在は52歳になる羽生善治九段です。25歳のとき、七冠を達成し羽生人気は沸騰。将棋ブームとなりました。今回はなぜ史上初の「八冠」がかかるかというと、羽生七冠の時代よりタイトルが1つ増えたからです。2015年に始まった叡王戦は2017年に規模を拡大して、新しくタイトル戦になりました。

将棋の棋士のタイトル戦は、5局か7局の番勝負で行われます。1局が1日で終わる1日制と、2日かけて行う2日制があり、1局終わったら1~3週間後に次の対局があるという、ゆっくりしたペースで行われます(その間に別のタイトル戦の対局が行われることもよくあります)。今回、八冠がかかる王座戦は1日制の5番勝負です。ちなみに8つのタイトル戦は、それぞれ毎年行われます。

通常の対局は、主に東京と大阪にある将棋会館で行われますが、タイトル戦は全国各地の有名ホテルや旅館、歴史的建造物で行われることが多く、王座戦の第1局は、神奈川県鶴巻温泉の錦鯉が泳ぐ大きな池と美しい庭がある有名旅館「元湯陣屋」で行われます。対局者に提供される見た目も美しい料理やお菓子も報道され、毎回注目を集めます。

タイトル挑戦は170人の頂点

プロの棋士になるだけでも狭き門で、タイトルを獲るのは本来いばらの道です。現役の棋士は170人ほどいて、タイトル戦の予選には全員が参加します。トーナメントや、実績によりメンバーが入れ替わるリーグ戦などそれぞれのタイトル戦(の予選)ごとのやり方で、勝ち上がった1人だけがタイトルの挑戦者になります。

待ち受けるのは前年タイトルを獲得したタイトル保持者。その2人で、全国を転戦しながら対局していきます。5番勝負なら3局、7番勝負なら4局勝てばタイトル獲得でその年のそのタイトル戦は終わり。タイトルを持っている側が勝てばタイトル防衛、挑戦者が勝てばタイトル奪取と言われます。

現在の王座のタイトル保持者は、永瀬拓矢王座。藤井七冠より10歳年上(9月に31歳の誕生日を迎えます)。ストイックに将棋に向き合うことで知られ「将棋はどれだけ努力したかで決まる」と言い切ります。和服で対局することが慣例となっているタイトル戦で慣れているスーツを着るなど、勝負に集中するためには他のことに頓着しない強さもあります。

フルセットにならないほど強い藤井七冠

藤井七冠はあまりに強く、実はタイトル戦でフルセットまでもつれたことは1回だけ。5番勝負なら、第5局までの日程と開催場所が公表され準備も進められますが、藤井七冠が対局するタイトル戦はたいてい最終局までたどりつかず終わってしまいます。3ー0、4ー0のストレート勝ちも珍しくありません。

そして、藤井七冠はタイトル戦の番勝負で1度も負けたことがありません。17歳で初めて獲ったタイトル「棋聖」は連続防衛して4期目。他のタイトルも獲得したら翌年は必ず防衛したうえ、挑戦者になったタイトルは全て奪取。タイトル獲得回数はすでに17期です。

渡辺明九段、豊島将之九段など、最近まで複数タイトルを保持していたトップ棋士も、藤井七冠にタイトルを奪取され無冠になりました。いわば「王座」は、藤井七冠以外の棋士の最後のとりで。藤井七冠がこれまでのようにタイトルを奪取しタイトル戦不敗記録を伸ばすのか、永瀬王座が王座を死守するのかに加え、フルセットにもつれるか、3ー0で終わるかにも注目です。

※段位、タイトル数は2023年8月24日時点

この記事の執筆者:宮田 聖子
ライター。アマチュアの将棋大会の運営を15年続けつつ、文春オンラインとマイナビ出版・将棋情報局にプロ棋士のインタビューやアマチュア将棋の記事を執筆。
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