LINE(ライン)は5日、月額500円からのSIMカードなどを専用サイトで発売し、格安スマートフォン事業に参入したと発表した。格安スマホ事業を手がける全額出資子会社「LINEモバイル」を設立し、NTTドコモから回線などを借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)として、SIMカードや格安スマホを提供していく。LINEや「ツイッター」、「フェイスブック」を使っても毎月のデータ通信量が減らず、使い放題になる料金プランが特徴だ。
この「LINEモバイル」のように、最近では、データ通信だけなら月々1,000円以下といった格安な通信プランとSIMカードを提供する新しい通信事業者が次々に登場してきている。大手キャリアから移行すると、月々の通信費を半分から1/5くらいにできることになるため、格安SIMと呼ばれて注目を集めている。格安SIMの基本知識について、スマートフォンに詳しい庄司恒雄氏と伊藤浩一氏がAll Aboutで以下のように解説している。
**********
格安SIMってそもそも何?
庄司氏によると、スマートフォンは、SIMカードという通信カードを本体に挿入して通信を行っており、これにより各通信事業者と契約している電話番号であることを確認し、通信サービスを利用しているのだという。
格安SIMを提供する通信事業者は、自前で通信基地局やネットワークを持っておらず、NTTドコモやauといった通信事業者から、通信回線を借りて通信サービスを提供しているのだという。そこで、こうした通信事業者を、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)と呼んで、自前で通信環境を所有している通信事業者(MNO)と区別していると庄司氏は説明する。
格安SIMはなぜ安いのか
庄司氏によると、格安SIMキャリア(MVNO)が、安い通信プランを提供できるのは、大手キャリアにはない小口の通信プランを用意しているからだという。大手のMNOでは、月間でデータ通信最大7GBや通話し放題プランなど、万が一に備えた大容量の利用プランを提供している。一方で、MVNOのキャリアは、1~3GB、5GB、7GB、10GBなど、利用者が実際に必要な通信量に合わせて料金を低くした通信プランを用意している。
また、1日の利用量を300~500MBに制限したり、通信速度を500bpsに抑えたりすることで料金を安くしたプランもあり、「格安SIMは、使う人の利用ニーズにあわせて、料金を低くして提供しているのです」と庄司氏は述べている。
また、MVNOキャリアは、専用ストアなどの実店舗を持たず、契約やサポートをオンラインや量販店に絞ることで、人件費などのコストを抑えたことも、料金を安くできている理由の一つだと庄司氏は説明する。
格安SIMではできないこと
伊藤氏によると、MVNOのキャリアでは、魅力的な通信料でスマートフォン利用できるが、注意点がいくつかあるという。
まず、例えばNTTドコモのMVNOサービスを使用する場合、このMVNOサービスを利用するためには、別途、NTTドコモのスマートフォン、もしくは、SIMフリースマートフォンを入手する必要があるのだという。MVNOサービスはSIMカードのみの契約となるので、端末は自分で用意して、さらに、端末にSIMカードを挿して、APN(アクセスポイント)の設定も自分で行う必要があると伊藤氏は説明する。
また、通信速度制限に関しても注意が必要だと伊藤氏は述べている。MVNOサービスは、各社で様々なプランがあるため、自分の通信環境に合わせた通信プランを選択し、月額の通信料金を大幅に抑えることができるが、自分に合わないプランを選択してしまうと、不便なスマートフォンになってしまうと伊藤氏は説明する。
しかし、「APNの設定や、月額使用量の制限などありますが、リーズナブルな価格で利用できますので、通信料金を節約したいユーザーにおすすめのサービスです」と伊藤氏は述べている。
【関連リンク】