関西国際空港
関西国際空港

関西国際空港を運営する関西エアポートは30日、接客業務に従事するグループ会社の従業員を含む複数の従業員が「麻しん(はしか)」に感染し、ほかにも感染が疑われる事例が複数あり、現在検査を行っていると発表した。

 

大阪府によると、関西空港内に勤務する20歳代女性が麻しんで入院中。また、女性の接触者のうち有症状者について検査を行ったところ、31日10時までに、16人に麻しんの陽性反応があるという。同府は、麻しん流行国への渡航歴がある場合や17日から30日の期間に関西空港を利用した場合で、麻しんの疑いがあれば、早めに医療機関を受診するよう呼び掛けている。

 

麻疹(はしか)とはどのような病気なのか。専門家がAll Aboutで以下のように解説している。

 

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麻疹(はしか)の症状

医学博士の清益功浩氏は、麻疹の症状の特徴として高熱と赤い細かな発疹をあげ、以下のような症状があると説明している。

  • 鼻水
  • 39度以上の高熱
  • 発疹(赤い細かい発疹が全身に出る)
  • 色素沈着(回復すると湿疹が赤黒くなって、しばらく残る)
  • 眼球結膜充血・目やに
  • 下痢や便に血が混じることも

 

最初は高熱が出て、2~4日目頃から発疹が出る。発疹が出てくる頃、口の中に「コプリック斑」という白い斑点ができるのも特徴的だという。

 

麻疹の原因、感染経路は

麻疹は麻疹ウイルスによって起こる呼吸器感染。麻疹ウイルスは、「パラミキソウイルス群RNAウイルス」に分類される、非常に小さなウイルスと、清益氏は説明する。非常に小さいため、感染経路は、人から人への飛沫感染、接触感染のほか、空気感染しやすいのも特徴。空気感染は感染する範囲が広くなるので、同じ部屋にいるだけでも感染するという。非常に感染力が強いため、1人が感染すると、麻疹ワクチンをしていない人や、これまでに麻疹にかかっていない人に、次々と広がってしまうと清益氏は説明する。なお、感染してから発症するまでの潜伏期間は10~12日という。

 

気を付けたい合併症は

麻疹には合併症が多く、特効薬がないと清益氏は述べる。以下の合併症が起こる可能性があり、それぞれ重症になるリスクを伴うということなので注意を払いたい。

 

■間質性肺炎

風船のように膨らんだりしぼんだりする肺が硬くなり、呼吸ができなくなる病気。ひどい時には人工呼吸器を使用しないといけない場合がある。

 

■中耳炎・肺炎

麻疹にかかると免疫が抑制されるため、細菌に対する抵抗力が下がり、中耳炎や肺炎になることも。

 

■脳炎・脳症

麻疹に自然にかかると、1000例に1例の割合で合併すると言われる。後遺症(精神発達遅滞、痙攣、行動異常、神経聾、片麻痺、対麻痺)は20~40%見られ、脳炎・脳症の死亡率は約15%と清益氏は説明する。

 

■亜急性硬化性全脳炎(SSPE)

脳炎の一種で、麻疹ウイルスが持続して脳に感染し、麻疹感染後数年以上で発症し、症状が徐々に脳炎が進行し、神経症状が悪化する非常に予後の悪い病気。現時点では治療方法がないという。

 

■播種性血管内凝固症候群(DIC)

血管の中で、血の塊を作り、血を止める成分や血小板が少なくなってしまい、出血しやすくなる病気。体の至る所で出血するため、非常に怖い。

 

医学博士の西園寺克氏は、麻疹は女性にとって深刻な病気であり、妊娠中の麻疹は流産や早産の可能性を高くする事が報告されていると説明した上で、出産を希望する女性は麻疹に対する抗体価(正確にはIgG抗体)を測定する事を勧めている。測定結果が陰性あるいは抗体価が低い時は医師と相談して対応を考えるのが良さそうだ。

 

麻疹の治療法

清益氏によると、麻疹ウイルスに対する特効薬はなく、症状に応じた治療と合併症に対する治療を行うという。

 

■対症療法を行う

清益氏によると、高熱に対しては解熱剤、咳には咳を抑える鎮咳薬、痰を切りやすくする去痰薬・気管支拡張薬、鼻水を抑える抗ヒスタミン薬などを使用。結膜炎には点眼薬を使い、発展途上国の場合は、ビタミンAの投与で麻疹の死亡率を下げられるという報告もあるという。

 

■細菌感染を防ぐ

麻疹によって免疫力が低下するために細菌感染になりやすくなるという。細菌感染に対しては抗生物質を使うと清益氏は説明する。

 

■間質性肺炎を防ぐ

風船のように肺が固くなってしまう間質性肺炎の炎症を抑えるためには、ステロイドが使われるという。ステロイドは免疫も抑えるので感染対策を行った上で使用される。

 

■DICを防ぐ

血管の中で、血が固まってしまい、血を固める成分がなくなってしまうDICに対しては、血液が固まらない治療をしたり、血液の成分を補充するという。

 

麻疹の予防法は

清益氏は「麻疹にかからないよう予防することが大切」と述べ、麻疹予防で最も効果的なのが、予防接種・ワクチンとしている。現在は風疹と混合したMR2種混合ワクチンを使うという。

 

MR2種混合ワクチンによって、95%以上の人は麻疹に対する抵抗力である抗体が上げられるが、一部の人は抗体ができず、予防接種をしても麻疹に罹ってしまうことがあるという。

 

また、ワクチンの効果は1回では不十分なので、2回接種するという。ワクチンの副作用は非常に少ないが、接種後5~14日頃に発熱や発疹がおきることもあるという。また、もしワクチンを接種していない状態で麻疹の人と接触した場合は、72時間以内にワクチンをすることで発症を抑えられる可能性もあるという。

 

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