台風が接近。備えるべきことは
気象庁によると、台風10号は、暴風域を伴いながら、27日には南大東島の南海上をゆっくりと北東に進む見込みという。大東島地方では、27日にかけて、うねりを伴った高波と強風に注意するよう呼び掛けている。
台風10号は19日に伊豆諸島近海で発生し、一度本州に近づいたが高気圧の影響で南西に進み、南大東島付近で停滞していた。29日から31日にかけて本州付近に接近、上陸するおそれがあるという。今後の進路など台風情報に注意をしたい。
勢力が強い台風の接近・上陸を前に、我々が準備しておくことは何か。家庭でできる台風や強風への備えと心構えについて、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏がAll Aboutで解説している。
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台風被害から逃れるための方法
和田氏によると、個人が台風被害から逃れるための方法として、まずは台風の特性について理解する必要があるという。
台風の進路に自分の住む地域がある場合、その台風の風速や降雨量に注意したい。さらに住む地域が海岸地域や山岳地帯、河川の流域などである場合、風雨の増大によってどんなリスクが発生するかを理解しておくことが重要と和田氏は説明する。
テレビやラジオ、スマホなどで刻々と変わる台風の強さや進行方向といった情報を確認しておきたい。
和田氏は、台風被害を避けるために重要なことを順に挙げている。
- 発生後は台風の進路に注意すること。(進行方向の東側が被害が大きくなる傾向あり)
- 自分の住む地域がどんなリスクがあるのか理解しておく。(高波、洪水、土砂崩れ)
- 避難の遅れが重大な被害を生む。特に海岸地域や河川の流域、過去に洪水が発生した地域などは事前に家族で避難経路を確認しておき、速やかに避難出来るよう身支度を整えておくこと。
準備しておきたいものや心構え
台風のときに、考えられる被害は「停電」があると和田氏は指摘する。最近では大きな停電はなかなか起きないようになっているが、水や食料など、普段から地震対応の非常袋と兼用で用意しておくようにしたい。また懐中電灯や、停電時に自動的に点灯するタイプの電灯があると、夜間に起きた停電に対処しやすいと和田氏は述べている。
台風は地震と違って、突然来るものではないだけに、十分に余裕を持って対処できる災害と和田氏は指摘しており、場合によっては自宅が危険な地域であると判断すれば避難することも必要としている。また、台風が近づいてきたらなるべく外出を控え、海山のレジャーは延期にしてほしいと呼び掛けている。
突風・竜巻の予兆は? 前兆現象を知る
台風に伴い、竜巻などが発生することもある。竜巻の発生しやすい状況(積乱雲の発生しやすい状況)は、「台風の接近」のほかに、「前線の存在」「急激な気温上昇」などもある。和田氏は「これは今や気象庁の雨雲レーダー画像や、各種の気象情報アプリなどでインターネットやスマートフォンから簡単に手に入れることが出来ます」としている。また、天気予報などで「大気が不安定」というような言葉が使われたならもう危険信号と考えてほしいと和田氏は指摘する。
体感で前兆を感じるポイントについて、和田氏は以下を挙げる。
- 夕方になってもいないのに「急にあたりが暗くなる」(黒い雲が近づいてくる)
- 大粒の雨、または雹(ひょう)が降り始める
- カミナリが発生する
- 夏なのに冷たい風が吹き始める
- ゴーという音が遠くから聞こえる
屋外にいる時の対策:竜巻の発生に気づいたら
黒い雲の底から漏斗(ろうと)状の雲が垂れさがってきたら、「まさに危険はすぐそこに迫った」状況だといい、「すぐにでも頑丈な建物の中に避難しなければなりません」と警鐘を鳴らす。この時、物置やプレハブ、簡易的な車庫のような場所に逃げ込んだりすると、建物ごと飛ばされてしまったり、建物の破壊によって被害を受けてしまったりする可能性があるため危険だと和田氏は説明する。
屋外で逃げ込めるような建物がない場合は、通り過ぎるまでの間、身を隠せるような側溝を見つけて飛び込むしかないという。
屋内にいる時の対策:強風被害を最小限にするには
室内においても、強風被害を受けないためには家屋の2階よりも1階、窓のある部屋よりもない部屋にいたほうが被害の可能性が少なくなるという。
また、和田氏は「雨戸やシャッターがある場合は事前にきちんと閉めておくこと」を呼び掛ける。これは、部屋に吹き込んだ風の圧力によって、家屋の屋根が吹き飛んでしまうような被害も発生しているためだという。
竜巻や台風の風そのものではなく、ベランダや家の周囲に置いてあった植木鉢や物干し棹など飛来物によって窓ガラスが被害を受ける可能性もあるため、「強風被害の発生確率が高まったら、少なくとも前日には家の周囲やベランダ等の物を片づけて、室内に取り込んで」と和田氏は述べている。
強風被害を逃れる離島の知恵
毎年、多くの台風が直撃し、強風を経験する沖縄をはじめとする離島では、風速30 m/s~50 m/s程度の風などはさほど驚くに値せず、人的被害などはほとんど発生しないという。これについて、もちろん毎年の強風を前提に頑丈な家づくりをしているということもあるが、和田氏は「台風が近づいたなら無用の外出を避け、早めに屋内避難をすることが習慣づけられているためと考えられる」と指摘したうえで、強風のリスクを楽観視することなく、被害を避ける行動を心がけてほしいと呼び掛けている。
強風被害に備える5カ条
和田氏は強風や竜巻の被害に備えるために以下の5カ条を覚えておいてほしいとしている。
- 気象情報を常に身近に手に入れるような習慣を
- 「台風」は遠くにいても「竜巻」は発生する
- キーワードは「大気が不安定な状態」
- 「黒い雲の接近」「冷たい風」など前兆現象に注意
- 家の周囲の整理整頓、早めの屋内退避をしよう
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