「イタリアを食べよう」をスローガンに個性豊かなイタリア野菜の普及に取り組む老舗種苗メーカー、トキタ種苗。日本の気候風土に合うよう品種改良されたイタリア野菜は、プロの生産者はもちろん、家庭菜園の愛好家からも注目を集めています。
葉物野菜を紹介した前編に続き、2022年11月に行われた大利根研究農場(埼玉県加須市)でのオープンデーの様子をレポート。温室エリアのトマトやナスなどの果菜類をご紹介します。
ナスやズッキーニ、トマトなどの果菜類を展示した温室エリア
温室エリアではイタリア野菜でおなじみのズッキーニやナス、キュウリ、トマトなど、さまざまな果菜類が栽培展示されています。特にトキタ種苗のイタリアナスは色や形がユニークで必見! ナス好きの筆者が1番楽しみにしているエリアです。
例年は純白色のメランツァーネ(イタリア語でナス)・ラテ、しま模様のメランツァーネ・ゼブラ、大きな丸ナスのメランツァーネ・ビステッカなど、プロ向けのイタリア野菜が目を引きますが、2022年は家庭菜園に適した栽培しやすい品種が中心となっていました。
・まるで宝石のように美しい丸ナス
まずは果菜の花形であるナスからご紹介。青々とした大きな葉に見え隠れしているのは「グリルでイタリア」という丸ナス。ツヤツヤした紫色の実は宝石のような美しさ! この日に見たのは、テニスボールをひと回り大きくしたようなサイズでしたが、500gを超えるソフトボール大まで育つそう。
「グリルでイタリア」は丈夫で木の勢いが強く栽培しやすい品種で、収量が多いのも特徴です。一般人の実力ではこんなに美しくできるとは到底思えませんが、来期は筆者もぜひチャレンジしてみたい野菜の1つです。
・ズッキーニと並ぶ代表的なイタリア野菜、白ナス
最近はスーパーでも見かけるようになった白ナスは、ズッキーニと並ぶ代表的なイタリア野菜。この白ナスを品種改良したのが、こちらの「とろ〜り旨なす」です。
家庭菜園でも人気の品種で、ホームセンターで苗を見かけることもしばしば。一般的な白ナスは加熱すると身が柔らかくなる一方、皮は少々硬めなのですが、「とろ〜り旨なす」は皮まで柔らかいのが特徴です。
白ナスは肌が白く美しい分、傷付くと変色して見た目を損なうという難点もありますが、展示では袋がけすることで肌を守る提案がされていました。こうした栽培のヒントに出会えるのもオープンデーならではのメリットです。
・SNS映えも抜群!? ヒョロヒョロと細長い「ペンなす」
ヒョロヒョロと細長いこちらは「ペンなす」という品種。鮮やかな紫色と筒状の形が特徴で、長さは20cmぐらいから収穫できるそうです。皮は薄く柔らかいので、端からトントンと切って炒めるのによさそう。炒めても色が鮮やかなので、インスタ映えする料理になりそうですね。
・イタリア野菜の代表、ズッキーニ
イタリア野菜の代表選手、ズッキーニ。ズッキーニのイタリア語名はズッキーナといい、小さなカボチャという意味があります。カボチャは黄色く熟した頃に収穫しますが、ズッキーニの場合は未熟な若い状態を収穫して食べます。
ズッキーニは19世紀後半に北イタリアで生まれた野菜で、いまや日本でもおなじみの野菜。レストランの食材としてはもちろん、家庭料理にも多く使われています。皮付きのまま食べられて、グリルしても煮込んでもおいしく、使い勝手のよい野菜として人気です。
ズッキーニはカボチャの仲間なのでつるを這わせて栽培すると思いきや、こんなにもユニークな形で栽培されているのです。余談ですが、筆者が畑でズッキーニを見たのは20年前のイタリア。メデューサの髪のように四方八方に伸びる太い枝と、茎からニョキっと突き出た果実の不気味(失礼)さに驚いたものです。
これは「立ちづくり栽培」といって、支柱に誘引して高さ1メートルほどまで延ばす栽培方法。地表に這わせないので果実の傷や着色不良を防ぐことができるそう。家庭菜園でもズッキーニをよく見かけますが、多くの人が「立ちづくり栽培」で育てているようです。色や形、大きさもさまざまあり、トキタ種苗ではベーシックなゼルダ・ネロ(写真下)のほか、薄緑のゼルダ・ライム(写真上)、黄色のゼルダ・ジャッロ、まん丸のパリーノなどがあります。