コロナ禍で増えた家時間を充実させるため、家庭菜園で野菜を作る人が増えつつあるようです。実は2021年にベランダで家庭菜園デビューした筆者もその1人。京都の老舗種苗会社、タキイ種苗では、毎年8月31日の「野菜の日」を前に「野菜と家庭菜園に関する調査」結果を発表しています。
全国20歳以上の男女600人を対象に実施した2022年度の調査では、およそ2人に1人が家庭菜園を経験しており、人々の家庭菜園に対する関心の高さが分かりました。
37%の人がコロナ禍のステイホームで家庭菜園デビュー
タキイ種苗が8月24日に公開した最新の調査結果によれば、家庭菜園を経験した人(現在野菜を作っている人と、過去に野菜を作ったことがある人)の割合は全体の46.5%。約2人に1人は家庭菜園の経験があることが分かりました。
また、家庭菜園の経験がない人に「家庭菜園で野菜を作ってみたいと思うか」と聞いたところ、33.7%の人が家庭菜園で野菜を作りたいと回答。これは2021年調査の25.1%から8.7ポイントも増加しており、年々、野菜作りへの関心が高まっているようです。
91.7%が「今後も家庭菜園を続けたい/趣味にしたい」と回答
現在家庭菜園をしている人に始めた時期を尋ねたところ、37.1%の人がコロナ禍2年目の2021年の春以降(2021年の春から2022年の2月が16.7%、2022年の春以降が20.4%)に始めたことが分かりました。
筆者が家庭菜園を始めたのも2021年の春。コロナ禍で在宅時間が増えたのをきっかけに、ベランダに置いたプランターでトマトやゴーヤを作ったのが最初でした。コロナ禍2年目といえば、リモートワークによる長い在宅時間にも慣れて、多くの人が暮らし方を見つめ直した時期でもあります。充実した家時間を過ごすために、庭やベランダで野菜作りを始めた人も多いだろうと思います。
また、「今後も家庭菜園を続けたい/趣味にしたいか」という問いには91.7%の人が「そう思う」と回答していることから、家庭菜園を体験した人の多くが野菜作りに魅力を感じていることが分かりました。
家庭菜園を体験して感じたのは「農家や生産者のすごさ」
それでは、家庭菜園の体験者は野菜作りのどこに魅力を感じたのでしょうか。新鮮な野菜が食べられるから? それとも、家計の節約になるから? そうした意見が多いと思いきや、意外や意外、「野菜作りの難しさ」を挙げる人が圧倒的多数でした。
家庭菜園の経験者に「野菜を作ってみて感じたこと」を聞いてみると、9割近い人が「農家・生産者のすごさ」(88.2%)と回答し、次いで81%の人が「野菜を育てることは想像以上に大変だった」と回答。多くの人が野菜作りの難しさを実感しており、農家や生産者の苦労や技術力への気付きとなって、「次こそは!」という挑戦意欲にも繋がっているようです。
一見、マイナスイメージのようにも見えますが、「勉強して知識を増やしたい」「家庭菜園に対する価値観が変わった」「子どもに家庭菜園のよさを伝えたい」など前向きな回答が多くあり、野菜作りの難しさを知ることが消費者としての意識を高める結果にもなりました。
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