おなじみの野菜だけど、色や見た目がいつもと違う、食べてみたら普段と違う味がするなど「あやしいな、大丈夫かな?」と不安になったことはありませんか。次から次へと湧いて出る素朴すぎる疑問を、野菜ソムリエプロの江戸野陽子さんに解決してもらいます。#6はトマト。
#6「トマト」の実が柔らかすぎて“ぶよぶよ”で、あやしい気がします……
夏に旬を迎えるトマトですが、実がぶよぶよ柔らかくなっていたり、実割れを見つけたりすると捨ててはいませんか。ですが、少しお待ちください。夏のトマトは、暑さで最大限まですぐ熟れてしまうだけだったり、突然の大雨で水膨れしただけだったりで、食べられるものもあるのです。
トマトはすぐ食べずに置いておくと、果肉からハリが失われ、柔らかくなっていきます。ぶよぶよとして水分が失われているものの、皮が赤いままで破れていなければ食べても大丈夫です。
とはいえ、トマトは長期保存できる野菜ではないので、徐々に劣化していきます。次のような状態になっている場合は食べてはいけません。
・皮が破れて、汁が出ている
・カビが生えている
・ぬめりをがある
・トマトの一部が溶けている
・へんな匂いがする
夏のトマトは1個ずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れ、ヘタを下にした状態で野菜室に入れれば1週間程度保存できます。
また洗ったトマトをラップに包み、ポリ袋にいれたものを冷凍保存することもできます。半解凍のものをカットして食べるとシャーベットみたいな食感を楽しめます。もちろん加熱調理してもOKです。
Q. 完熟して「柔らかくなった」トマトはどうすれば?
買ってきて早々に柔らかいトマトというものもあります。これは収穫ギリギリまで熟成していたものなので、ヘタの周辺まで真っ赤になっており、強い甘みと旨味を味わうことができます。
とはいえ、完熟したトマトは包丁の刃を入れただけでぐじゅっと崩れてしまうこともあります。その場合は、冷凍して半解凍の状態でカットしたり、スープやカレーに入れて、加熱調理するのがおすすめです。
Q. トマトが「ひび割れ」て皮が破れるのはなぜ?
夏になると皮に裂かれたような切れ目があるトマトがあります。これは裂果(れっか)という現象で、収穫時に傷ついたわけではありません。
与える水分量が少なくてトマトが乾燥状態にあると、雨などをきっかけにトマトが急激に水分を吸い上げ、果肉の肥大に皮が追い付かず割れてしまいます。
ざっくりと大きな割れがあると、そこから土や汚れがついてしまいますが、ひびが入った程度であれば、きれいに洗ってから食べられます。
ただし実割れしたトマトは水分を多く含み味も水っぽいので、生よりは加熱調理の方がおすすめです。
Q. ヘタや“尻”にある「黒い」ところは何?
稀にヘタやお尻に黒くてガサガサの部分があって、切ったら断面の一部が黒くなっていたり、空洞になっていたり、なんてことはないでしょうか?
これは芯腐れ・尻腐れなどと呼ばれ、窒素過剰・カルシウム不足・日照不足などが原因のようです。害虫や病気ではありません。見た目は普通なのに切ってみたら黒い!ことも。その場合、変色・変質した部分を取り除いてしまえば残った部分は食べることができます。
東京農工大学農学部卒業。「野菜と豆腐の料理家」として料理教室を実施。また豆腐製品の普及活動に取り組む野菜ソムリエプロ、豆腐マイスター。All About「毎日の野菜・フルーツレシピ」ガイド。