手軽に、幅広い時代の作品を閲覧できるのが魅力です。そこで本記事では、個人送信で読める「大正時代」の絶版資料の一部を紹介します。
(1)『三田文学』
『三田文学』は1910年に創刊された、慶應義塾大学ゆかりの文芸雑誌。現在も刊行されており、数々の作家を輩出してきました。森鷗外や谷崎潤一郎、芥川龍之介といった作家が寄稿しています。
大正7年(1918年)の『三田文学. 第1期. 9(7)』では、芥川龍之介自身による『地獄変』についてのコメント(手紙)も掲載しています。小説ではなく、人間性が垣間見られる貴重な文章です。また、同年に『三田文学. 第1期. 9(9)』にて『奉教人の死』を発表しています。
(2)『感情装飾』
大正から昭和にかけて活躍し、1968年にはノーベル文学賞を受賞した作家・川端康成。大正15年(1926年)に発表された『伊豆の踊子』も、代表作の1つです。
大正15年に『感情装飾』といった掌編小説の作品集を刊行しており、個人送信で閲覧できます。1つ1つの物語が短く、手軽に読めるのがうれしいポイントです。
(3)『カメラ』
北原白秋の弟が創立した、アルスによる雑誌『カメラ』。大正10年(1921年)に創刊され、戦前にかけて刊行されていました。大正は、アマチュア写真家が増えた時代です。そのような中でアマチュア向けのお役立ち情報などを掲載し、数多くの写真家を輩出しました。当時の風景や建物、人物の写真も掲載されており、楽しみながら閲覧できます。
(4)『赤い鳥』
『赤い鳥』は1918年(大正7年)に鈴木三重吉によって創刊され、1936年(昭和11年)まで続いた児童雑誌です。日本の児童文学・教育に多大な影響を及ぼしました。
芥川龍之介も発表の場として、『蜘蛛の糸』や『犬と笛』などを寄稿。最後に寄せられた作品は『アグニの神』(大正10年)であり、1921年2月号で確認可能です。北原白秋が童謡を担当しており、数多くの作品を閲覧できます。
(5)『青鞜』
『青鞜』(せいとう)は1911年(明治末期)から 1916年(大正5年)まで続いた、婦人月刊誌。女性解放運動のパイオニア・平塚らいてう(らいちょう)を中心として、創刊されました。日本初の女性のための文芸誌であり、「元始女性は太陽であつた」という創刊号のフレーズが有名です。巻頭で、与謝野晶子による「そぞろごと」という詩を確認できます。
以上、インターネットで無料で読める「大正時代」の絶版資料をピックアップしました。なお、サービスを利用するには利用者登録(本登録)を行う必要があります。本人確認書類などの提出も必要。登録完了には数日間かかりますので、見たいと思ったときにすぐに利用できるよう、予めの本登録をおすすめします。
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